6、ウォーターリリー
本日は朝投稿です。
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「レモンとは何ですか?」
私の呟きを聞いたガブリエルがそう訊ねた。
「レモンっていうのはね、酸っぱい柑橘系の果実なんだ。果汁を数滴揚げ物にかけるとさっぱり食べられるし、お菓子の風味付けにもいいんだよ」
思い出したらすごく欲しくなるから不思議だ。
「レモンじゃなくても同じような果物はないのかな?」
別にこの世界のレモンっぽい果物でもいいのだが。
「それでは探しにいきましょう。私もそのレモンとやらがすごく気になってきました」
そうして私とガブリエルはレモンを探しに普段は行かない街の外の森の中にやってきた。
「果物屋のおじさんによるとライモンとかいう酸っぱい果実が森の中の木に時々なってるらしいんだ。酸っぱすぎて動物も食べないっていうからレモンに近いかもしれない」
藪の中を先に歩くガブリエルは私が歩きやすいように光で鎌のようなものを作って、草や蔓を薙ぎ払って歩きやすくしてくれる。
チート能力の無駄遣いだ。
「そんなに酸っぱいのですか?それが料理に使えるんです?」
草を刈りながらガブリエルが言った。
確かに動物も食べないものを食べるというのは不思議かもしれない。
「そのままはあまり食べないけど皮からはいい香りがするし、少し果汁をかけるとさっぱりした酸味がお料理のいいアクセントになるんだよ」
私達はそんな話をしながら、私の探し物スキルにもなるステータスでライモンの場所を確認し、そこに向かっていた。
私が持っているステータスという能力は人や物の情報を見れるだけではなく、ある程度の距離ならどこにあるかもわかるのだ。
チートではないかと女神フォンテーヌに聞いたが、ステータスはチートではないと言い切られた。
「あった!あれだ」
木の上になっている果実をステータスで見てみると、間違いなくライモンという果実らしい。
食用、とても酸っぱいが料理の風味付けや臭み消しになると書いてある。
「いっぱいなってる。採ってくるね」
さっそく私は木に登って取ろうとした。
「ソフィア様、危ないですよ。私が取りますから」
ガブリエルがハラハラしながら木の下から声をかけてくる。
「このくらいの高さ大丈夫だって」
と言った途端、掴んだ枝がポッキリ折れて、私は地面にドスンと落ちてお尻を強打した。
「イタタ…」
まあ、丈夫な体のおかげで傷ひとつないけど、ちょっと恥ずかしい。
と手をついて起きあがろうとした時、右手の横に変わった花のようなものが視界に入った。
それは、半透明の薄い青色の花で、花びらはジェルのようにプルプル艶めいている。
風に揺れると今にも雫が溢れそうだ。
「何これ?花?」
そう呟くとその花のステータスが浮かび上がった。
ウォーターリリー、採取するには花と茎の間を切る。
それ以外の方法で採取すると溶けて液体になる。
花びらのエキスを抽出するとサンド病の特効薬になる。
レア度S。
へえ、珍しい花らしい。
「ソフィア様!大丈夫ですか?」
ガブリエルが慌てて駆け寄ってきた。
「ガブリエル、見てこの花。知ってる?」
ガブリエルはウォーターリリーという花を不思議そうに観察した。
「いえ、私も初めて見ました。なんとも変わった花ですね」
へえ、ガブリエルも知らない花なんだ。
「ウォーターリリーっていうらしいよ。なんでもサンド病とかいう病気の特効薬になるんだって」
ちょっと得意げに私は言った。
「サンド病は聞いたことがありますね。なんでも珍しい病気だとか」
「せっかく見つけたから持って帰ろうよ。採り方も特殊なんだって」
私はガブリエルに採取方法を説明してアイテムボックスに入れてもらった。
もちろんライモンもたっぷりとってもらった。
そして…時はレミーさんを招いた時間に戻る。
「あのライモンを採った時の花!」
私が慌ててガブリエルに言うと、ガブリエルも慌ててアイテムボックスから茎のない花だけのウォーターリリーを取り出した。
「この花の事ですね」
「そう!それ!」
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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