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5、彼の妹

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

前作でチラリとレモンが出てた気がする方、すいません。

うっかりしてました。気のせいだと思っていただけると助かります。

「!!?」


一口目のオムライスを口に入れたレミーさんは固まってしまったようだ。


どうなんだろう?


結構上手くできたと思うんだけど。


「お味はいかがですか?」


反応がない事に不安を感じてきた私は、レミーさんに訊ねた。


「おい……です」


「え?」


声が小さくて聞き取れなかった。


「えぐっ…お…美味しい。ぐすっ…すっごく…えっ…美味しいです」


な、泣いてる…。


「レミーさん、大丈夫ですか?何か苦手なものでもありました」


大丈夫かな。


そういえば、以前誰かさんもプリンを食べて泣いていたっけ。


「違うんです。こんな美味しいものが世の中にはあるんだなって。僕はなんてちっぽけな世界で悩んでいたのだろうって。こちらのスープもいただきますね」


レミーさんは今度はコーンスープをひと匙すくって飲んだ。


「これも絶品です!」


レミーさんは涙を拭きつつ完食し、スプーンを置いた。


「大変美味しかったです。こんな美味しいものを作る人の下で働けるならこちらから是非お願いしたいです」


「え?ウチで働いてくれるのですか?」


やった!料理人兼店長ゲット。


喜ぶ私達に、レミーさんは急に真面目な表情になった。


「しかし一つ言っておかなければいけないことがあるんです」


レミーさんは私や父達に向かって言った。


「私にはロジーという名の、15歳になる妹がいまして…」


へー、私よりひとつ年下の妹さんがいるのか。


「その妹は2年前からサンド病に侵されて、今ではほぼ寝たきりなのです」


「「サンド病!」」


ずっと傍観を決め込んでいた父と母が大きな声をあげた。


サンド病を知らず訳がわからない私に父が説明してくれた。


「サンド病というのは古くから、遺伝的に稀に現れるとても珍しい難病だ。最初は足や手の表面が乾燥しカサカサと砂のように剥がれ落ち、やがて筋肉や骨まで脆くなっていくと言われている。レミー君、それであっているかな?」


父はレミーさんに訊ねた。


「はい、その通りです。我が家は祖母をサンド病で亡くしました。妹が発症し、両親は妹を治そうと自国はもとより他国の医者まで見せに行きましたが、治療法が分からずでした。さらには一昨年、両親が馬車の事故で亡くなり、今は兄妹2人で暮らしています」


なんてことだ。


私も前世では両親を亡くしているから、その辛さは相当なものだろうと思う。


「今は働いている間は隣のお婆さんが時々見に来てくれています。妹は日に日に弱っていき、今では妹は歩くことさえおぼつかない様子なのです」


辛すぎる…。


「何か治療法が発見されるといいのだが。我が家にできることならいつでも言ってくれ」


父がレミーさんに言った。


サンド病…どこかで見た気がする…。


「サンド病…。サンド病…」


私が考え込んでいると、ガブリエルが近づいてきた。


「ソフィア様?どうされました?」


「サンド病ってどこかで見た気がして…。ってアレだ!この間のあの花だ!」


「この間の花と言いますと、もしかしてこの前果実を探しに行った日の珍しい花ですか?」


確かあの時、見つけた花をガブリエルのアイテムボックスに入れたのだった。


「ガブリエル!あの花出して!」


「は、はい。少々お待ちください…これですよね」


「そう!」


たしかこの花のステータスで見たんだ…。


「やっぱりそうだ!」


そう、あれは遡ること更に2週間前…。


「ああ、この揚げ物にレモンがあればなあ…」


すっかり定番料理になりつつある鳥の唐揚げを作っていた私は、そう呟いた。










読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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