42、プレゼント①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「ロイド商会…」
店長の顔が真っ青に変わる。
「店長…ロイド商会の娘って今朝話してた…」
「この国の最高権力者の一人ロイド商会会長の娘で、今バーリに来てるらしいからなんとか取り入れないかなって言ってたあの…」
「アンタ達黙りなさい!」
つくづく腹立つ人達だな。
「何コイツら?なんか腹立つけど殺す?」
アヴァリスの物騒な一言に店長と先輩達は震え上がった。
「アヴァリス。どんなに不愉快でもソフィア様の命令が出るまで殺してはいけません」
ガブリエルのセリフも充分物騒だ。
「わかったわ。ルーシーが辞めたいなら止めないから。私とこの店には何もしないで頂戴」
別に最初から何もするつもりはないけど。
「店長!私達はどうなるんですか!」
「そうよ!私達も守ってよ」
「アンタ達はあの子を散々いじめてきたじゃない。私は知らないわよ」
「そんな…店長だってアイツに雑用押し付けてたじゃないですか」
ほんとサイテーだ。
この場にルーシーが居なくて良かった。
「お前らうるさい」
アヴァリスが呟くと、途端に静かになった。
「お待たせしました!」
ルーシーが旅行鞄を手に現れた。
「ルーシー荷物はまさかそれだけ?他にもあるならガブリエルに運ばせるよ」
「いえ、荷物はこれだけです」
1年も住んでて荷物が旅行鞄1つか。
「じゃあ行こうか」
ルーシーを促すと、ルーシーは私にちょっと待ってと言って振り返った。
「こんな状況ですがお世話になりました。皆さんもお身体に気をつけて」
ええ子や…。
本当にルーシーには幸せになって欲しい。
バーリのロイド商会に帰るとさっそく私が泊まっているロイド商会所有の宿に案内した。
「とりあえずバレンシア商会に頼んである服が出来上がるまではこの街にいるから、しばらくはここに泊まってくれる?」
せっかくなんでお針子の腕を生かした仕事をして欲しい。
リボンの刺繍をマーガレットさんに見てもらって、次の仕事を紹介してもらえないか聞いてみよう。
「こんな素敵なところに泊まれるなんていいんですか?今までは物置にベッドを置いて寝ていたので。すごく嬉しい」
くっ、なんか視界がぼやけて…。
「ルーシー。これ、手荒れに効く軟膏。その手じゃ痛いでしょ。それとここは食事は下の食堂で無料で食べられるんだ。今日は夕飯を一緒に食べない?」
「えっ?ご飯までいいの?ありがとう」
ルーシーと一緒に夕飯をとり、これから次の仕事に就くまで何かしたいことがあるか聞いてみた。
ルーシーはとりあえず依頼したリボンの刺繍に集中したいと言うことだった。
「ちゃんと睡眠と食事はとってね」
これからは自分の身体を大切に仕事をして欲しい。
次の日、私とガブリエル、アヴァリスは街に出てリボンと一緒に贈るクロエへのプレゼントのブローチを探す事にした。
「どのようなブローチを送るつもりですか?」
ガブリエルが聞いてくれる。
「そうだね、クロエは侯爵家にお嫁にいくから、ある程度の宝石がついたものがいいな。周りの細工はロイド商会の細工師に頼んでもいいし。ブローチになってたらいいけど、なければ石だけでもいいな」
「なるほど…では宝石店を中心に見てみますか」
「俺宝石とかよくわかんないけど、女は宝石とか喜びそうだな」
アヴァリスはあてにならなさそうだ。
「できればクロエに合うような紫系の素敵な石があればいいなあ」
「紫と言うとアメジストかタンザナイトあたりでしょうか」
ガブリエルが考え込む。
「おっ、ガブリエルも商人らしくなってきたね」
ガブリエルはドヤ顔だ。
「ええ、最近ロイド会長に鍛えられてますから」
アヴァリスが来てからガブリエルは父の仕事の手伝いをすることが増えた。
優秀な護衛が増えたからだろう。
「それじゃあさっそく見て回ろう」
しかし…。
「全然ないね…」
街中の宝飾店を見て回ったが思っているサイズや品質のものが全然ない。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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