第5話 光
前回の戦いから1週間後、、、
悟志の心は激しい混乱と絶望に包まれていた。澤田との戦いで、彼は思い描いていたこの戦いは全く違う結末を迎えていた。悟志は、あまりのショックのため学校を長期的に休み、5キロ近く痩せていた。
彼女が言う通り、悟志は言霊の力を誤って使い、その結果、全てが崩れ去ってしまった感じがした。
澤田の言葉が悟志の頭の中で何度も繰り返される。「お前が望んだ力…それはこんなものだったのか…?」その問いに答える術もないまま、悟志はただ立ち尽くしていた。目の前には、彼の手で命を奪われようとしている澤田と美雪が脳裏に過った。彼の心は、これまでの全ての行動が誤りだったのではないかという疑念に押し潰されそうだった。
「俺は…間違っていたのか…?」
その問いに答えられるのは、自分しかいない。
文子が一歩ずつ、悟志に近づく。彼女の目は冷たいが、その中に宿る哀れみの色は、かすかな希望を残しているようにも見えた。
再び、頭の中を過る。「悟志、あなたにはまだ選択肢がある。」文子の声が静かに響いた。「最後の闘いに勝って、何を選ぶかで、全てが変わる。あなた自身の運命も。」
悟志はその言葉にハッとした。確かに、まだ何かを選べるのだと気づいた。しかし、それが何なのかはっきりとは分からなかった。自らの力を否定するのか、それとも再び暴力で全てを解決しようとするのか。どちらにせよ、次の戦いが始まるまで選ぶ時間は残りわずかだった。悟志の中で葛藤が生まれた。
文子が再び近づき、悟志の肩に手を置いた。「あなたが選べるのは、今この瞬間よ、悟志。自分の力を、どう使うかを選ぶのはあなたの自由よ。もし、この闘いから離脱するなら、あなたは死を選ぶしかない」
悟志は文子の言葉に耳を傾けながらも、深い絶望の中で何をすべきかを見失っていた。自らの力をどう使うべきなのか。それが彼の胸を深く締め付けていた。
澤田の体は、炎の中で次第に弱っていく。それでも、彼は最後の力を振り絞って悟志に向かって呟いた。「悟志…俺たちは…こんな結末を…望んだわけじゃないだろ…?」その言葉が、悟志の心を貫いた。
「俺は…どうすればいいんだ…」泣き始めた悟志は自問自答し続けるが、答えは見つからなく、絶叫した。
そして、ついに悟志は決意を固めた。
「もう…誰も傷つけたくない…でも…闘わないと」悟志はさらに静かに呟いた。
文子は静かにその様子を見守っていた。彼女の不気味な笑顔を笑って、わずかな安堵が浮かんでいた。「それでいいのよ、悟志。」
悟志は息を切らしながらも、静かに頷いた。「もう…二度と同じ過ちは犯さない…」
泣いていた悟志を文子は慰めるかのようにキスをした。柔らかい文子の唇が悟志の舌に絡み合った。
その中で、新たな戦いが始まろうとしていた。
「あーここの家か、、、」
魔術師の服装を着た男が悟志の家をニヤリっと見上げていた。