表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱小言霊(ヴェルブム)の覚醒–言葉を紡ぐ者–  作者: メロンクリームソーダ姫
第三章 七つの大罪編
25/27

第25話 希望

翔太は深く息をつき、手に持つスマートフォンの画面を見つめた。五十嵐の懇願とも取れるメッセージが、翔太の心に強烈な衝撃を与えていた。「助けてくれ…そして、俺を殺してくれ」という言葉が、何度も何度も脳裏に反響する。


「五十嵐…お前…」


翔太は握りしめた拳を緩め、視線を前に戻した。戦場はますます混沌としていく。強欲の悪魔は悟志との激しい戦いを続けており、氷の剣が空を切るたびに冷気が爆発し、周囲の建物を凍らせていた。一方、嫉妬の悪魔が作り出す濁流はますます勢いを増し、近くの人々を次々と飲み込んでいく。絶望感が漂う中、翔太の決意は固まっていった。


「悟志!まだ五十嵐を救える可能性がある!」翔太は叫びながら悟志の方に駆け寄る。


悟志は強欲の悪魔の攻撃を何とかかわしながら、翔太の言葉に驚いた表情を見せた。「本当か?どうやって?」


「五十嵐は完全に悪魔に飲み込まれていない!メッセージが来たんだ。彼はまだ中で戦っている!」


悟志は一瞬目を見開いたが、すぐに冷静さを取り戻し、強欲の悪魔の攻撃に再び集中した。「なら、俺が時間を稼ぐ。お前はそのメッセージを活かして、五十嵐を引き戻せ!」

翔太は強く頷き、スマートフォンを再び見つめた。五十嵐の意志に何とか触れるための方法が必要だ。強欲の悪魔に完全に支配される前に、何らかの形で彼の心に届かなければならない。ふと、翔太の脳裏に思い出がよぎった。昔、五十嵐と一緒に過ごした時間――それは、今とは全く違う、純粋に友情で結ばれていた時代の記憶だ。あの時、二人はどんな困難も乗り越えられると信じていた。翔太はその思い出を糸口に、五十嵐の心に触れる手がかりを見つけられるかもしれないと考えた。


「五十嵐…聞こえるか?お前があの時言ってたじゃないか、どんなに辛いことがあっても、俺たちは一緒に乗り越えるって…」


翔太は胸の中で呼びかけ続けた。だが、目の前にいる強欲の悪魔は嘲笑を浮かべ、何も感じていないかのように冷酷な剣を振りかざしていた。


「お前の声なんて、もう届かない!」強欲の悪魔は冷たく言い放ち、剣を振り下ろす。だが、その瞬間、強欲の悪魔の動きが一瞬だけ鈍った。


「今だ!」悟志がその一瞬の隙を見逃さず、強欲の悪魔の剣を弾き飛ばした。


翔太は驚きと共に確信を得た。五十嵐の意志がまだ悪魔の中に残っているのだ。再び、翔太は心の中で強く五十嵐に呼びかけた。


「五十嵐!お前を救えるのは俺しかいない!だから、負けるな!」


その言葉が届いたのか、強欲の悪魔の体が微かに震え始めた。まるで体の中で何かが抗っているかのようだった。悪魔は苛立ちを隠しきれない様子で、翔太に向かって怒鳴った。「無駄だ!彼は私のものだ!」


しかし、翔太は動じなかった。「違う、五十嵐はまだここにいるんだ!」


その瞬間、強欲の悪魔の目が一瞬だけ揺らぎ、五十嵐の声が微かに漏れた。「…翔太…」


「五十嵐!」翔太はその声を聞き逃さず、さらに強く呼びかけた。「俺たちは一緒に帰るんだ!だから、戦え!お前自身のために!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ