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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

トイレの花子さん

作者: 雪兎

怪談話第二弾、トイレの花子さんです。

かなりアレンジが入っているので実際の花子さんがこんな風かはわかりません。

では、トイレの花子さんをどうぞ。

「あなたは赤と青、どっちが好き?」

 小学校の女子トイレの奥から3番目の個室。

 そこで俺は少女にそんなことを聞かれた。

 夜遅くに男子である俺がなんでこんな所にいるんだろうとふと頭をよぎったが……

 きもだめしをするためだとすぐ答えが出た。

 しかし目の前のおかっぱの女の子の問の答えはすぐに出なかった。

 まさかこんなことになるなんて……


「なぁ、まこと。今夜きもだめししねぇ?」

「はぁ?中三にもなって何言ってんだよ」

「そんなこと言って本当は怖いんだろ?」

「そっそんなことねぇっ」

 夏休みがもうすぐ始まるという時期、俺は友人である祐二ゆうじのわかりやすい挑発に乗ってしまった。

「お前がそんなに言うんだったらきもだめしでも何でも行ってやるよ」

「よし、じゃあ決定だな。お前と俺を入れて全部で5人か…楽しくなりそうだ」

 挑発に乗った後にしまったと後悔したがそんなことお構いなしに目の前の友人はニヤニヤと笑っている。

 俺にはこの笑みが悪魔の笑みに見えた。

「今夜って言うけど用意はできてんのか?」

「そこらへんはぬかりはない。今夜8時に学校な」

「はぁっ?学校でやんのかよ」

「それが一番雰囲気出るじゃん」

 まぁそれはそうだと思うが……

「入れんのか?」

「大丈夫だって。理科室の窓が壊れていて簡単に忍び込めるんだよ」

 自慢げにそんなことを言う祐二は相変わらず笑ったままだった。

「というわけだから逃げんなよ?」

「わかってるって」

 こうして俺はきもだめしに参加することになった。


「よぉ~逃げずによく来たな」

「当たり前だろ。で、きもだめしって何やるんだ?」

「まぁこの紙に書いてあるチェックポイントに置いてある札を全部取ってきてここに戻ってくればOKだ」

「ふむ……」

 祐二から受け取った紙を見てみる。

 そこには、音楽室、生物室、化学室、そして女子トイレの3番目の個室と書いてあった。

「おいっ。ちょっと待て。最後のこれは何だ」

「ん~見てわからんのか。女子トイレだよ」

「それはわかってる。なんで女子トイレなんだよっ」

「女子トイレの3番目の個室って言ったらトイレの花子さんがあるじゃないか~」

「だからって女子トイレにする必要はねぇだろ……」

「ま、誰もいないから変態になることはねぇよ。第一、俺は札を置きに行くために一足早く回ってきたんだから文句言うな」

 そんなことを言われると行かないわけにはいかないが……

「ってことはお前は回らないのか?」

「おう。お前ら4人のタイムを測っていてやるよ」

 そういわれ少し不満を感じたが仕方ないと思い諦めた。

「4人が途中ですれ違わないように順路は書いてある通りに回れよ~」

「わかったよ」

 そして俺の渡された順路は化学室、音楽室、生物室、最後にトイレの順路だった。

「それじゃあよーいスタート」

 こうして夜のきもだめし大会が始まった。


「流石に夜の学校は気味悪ぃ……」

 俺は化学室をすぐに通り、音楽室に入って気味悪い肖像画を見て思った。

「よし、これが2枚目の札だな。次は生物室か……」

 生物室と言ったら、人体模型やらホルマリン漬けが気味悪い。

「こんなのさっさと終わらせちまおう」

 早足で音楽室を後にした。


「生物室の札は~……人体模型の目の前かよ。アイツ、趣味悪いぞ」

 俺は独り言を呟きながら札を取り最後の目的地に向かうことにした。

「よくアイツもためらいもなく女子トイレには入れるよな」

 ブツブツと呟きながら歩いているとすぐに目的地に着いた。

「……着いちまった……仕方ねぇ……行くか」

 俺はかなりためらいながら仕方なく入っていった。

「3番目の個室だよな」

 奥から3番目の個室をノックして花子さんいますかと言って入る。

 この場所だけそういう指定がしてあった。

「誤魔化してもばれないだろうが……俺ウソつくの苦手だからちゃんとやっとくか」

 トントントン

「花子さんいますか?」


「は~い……」


「ん?何か聞こえた……気のせいだよな」

 俺は気にせずにトイレのドアを開け便器の奥に置いてある札を取ろうとした。

 そうすると便器の中から手が伸びてきて俺の手を掴んだ。

「ひっ……」

 その手を振り払って逃げようとしたが予想以上の力だったために逃げられなかった。

 そして便器の中からおかっぱ頭の赤いスカートをはいた女の子が出てきた。

「こんばんは。私は花子」

「ど…ども……」

 つい反射的に反応してしまった。

「ねぇあなた。赤と青、どっちが好き?」

「えっ……」

 その質問に対する思考回路は完全に停止してしまった。

 確かこれに赤って答えると血まみれされて殺されて、青って答えると便器に引きずり込まれるんだっけ……

 どうすりゃいいんだよ。

 どっちにしろ殺されちまうじゃねぇか。

 そういや花子さんの嫌いな色を言えば逃れられるって話を聞いたことが……

 って何色が嫌いなんだよっ

「えっと……えっと…………」

「早く答えて?」

 花子さんにせかされて反射的に答えてしまった。

「どっちもっ!!」

「そう」

 花子さんはにやり怪しくと笑って、俺の身体を引き裂き……


「真のヤツ。遅いな……なんかあったのか」

 すでに他の三人はゴールに戻ってきてどこが怖かっただの雑談をしていた。

「ちょっとおれ、真を探してくるよ」

 そうして祐二は校舎の中に入っていった。

「アイツの経路は音楽室、化学室、生物室、トイレだよな……じゃあまずは」

 祐二は後ろから回ることにした。

 そして5分も経たずしてトイレの前に着いた。

「お~い。真~いるか~?」

 返事は返ってこなかった。そしてその場から立ち去ろうとしたが嫌な感じがしたので個室を覗いてみることにした。

「いるのか~?……ん?」

 個室の目の前に立ったときに下を見ているとなにやら斑点が床に少しついていた。

「おっおいっ!真っ?」

 不安になり勢いよく扉を開けてみると個室の中は真っ赤に染まっていた。

「ひぃっ……」

 腰が抜けてしまって立てなくなりその場に座り込んでしまったが、ふとあることに気が付いた。

「これがアイツの血だとしても……アイツはどこだ……?」

 個室の中にはいない。じゃあどこに?

 中に入ってみてみると便器の中の水に血が浮かんで文字を作っていた。


 あはっ♪新しいおもちゃができたわ♪


 そしてその奥に見えたのは真が着ていた服の切れ端だった……

トイレの花子さんの豆知識

花子さんの本名は『長谷川花子』さんです。

花子さんが出るようになった理由はたくさんありますがいくつかあげておきます。

「戦時中、かくれんぼが大好きだった少女が、学校内のトイレの個室に隠れていたところ、校舎が空襲を受け、逃げ遅れて死亡した」

「発狂した母親に追いかけられた少女が、学校のトイレの奥から3番目の個室に隠れたが、結局殺害されてしまった」

「休日の学校に遊びに来ていた少女が変質者に追われ、トイレの3番目の個室に隠れたが見つかって殺害された」

などがあるそうです。

あ、ちなみに牛乳が嫌いな花粉症の子だそうです(無駄

100点の答案を見せると逃げられるとか聞きます。

それでは次回また会いましょう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「トイレの花子さん」読みました(^0^)どっちに転んでも死んじゃうなんて嫌だなぁ。でも、咄嗟に「どっちが好き?」って言われても答えられないよね~w
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