ジーラ姫の弱点
ジーラ姫は恥ずかしそうにもじもじして、俺の方は見ないで、パンツとズボンを上げてくれた。
ジーラ姫は俺をお姫様抱っこして、ダンジョンの通路を歩き出す。
モンスターがちらほら見えたが、ジーラ姫を見ると皆逃げて行った。
通路には頭をカチ割られたモンスターが所々に倒れて死んでいた。
そしてしばらく歩くとエレベータのようなボタンが付いた扉の前に来た。
ジーラ姫は上矢印のボタンを押した。
「まったく。ランツBOYにも困ったものだわね」
チーンと音がして扉が開いた。中に入ると、1と書かれたボタンを押す。
なるほど。直通エレベーターがあったのか。少し揺れながら地上に着くのを待つ。
何か細かい振動が俺の体に伝わってくる。
ジーラ姫の手を見るとブルブル震えている。上を見るとジーラ姫の顔は真っ赤だった。
「姫どうしたんですか?」
「光男様。恥ずかしいので私を見ないでください」
まるで乙女のようだ。姫はホントに俺の事が好きらしい。
俺は緊張が解け、もう姫を見ても怖いとは思わなくなっていた。
そして地上に着くと姫は「行くわよ」と行って凄い速さで地面を駆けた。
車並みの速さで姫は疲れる様子もない。外の景色を見ながら1時間ほどで俺達は大王宮に戻って来た。
大王宮入口で俺は降ろされる。
「それじゃあ式で会いましょう光男様」
恥ずかしそうに去って行く姫。
俺は力が抜けてその場に崩れ落ちる。そして上を向いた時ステータス画面がまた出た。
姫のステータスだ。
ジーラ姫 レベル9999
こん棒で破壊出来ない物は無い
物理攻撃無効
空気が無いと酸欠で苦しむが死ぬことは無い
備考
魔法耐性が無い。魔法を喰らうと即死する
そして画面はいつものように消えた。だが今回は下の方までばっちり読むことが出来た。
備考に一番重要な事が書いてあったな。魔法でジーラ姫は死ぬ。
俺が大王宮に入るとカンナさんが出迎えてくれた。
「光男さんよかった。どうなる事かと思いました」
「ランツは思った以上に危険な男でした。もう奴に別荘を作らせない方がいいと思います」
俺はハレムの自室に戻って、ランツの別荘であった事をカンナさんに全部話した。
カンナさんはドン引きしていた。
「カンナさん。良いニュースもあります。俺はついに姫の弱点を見つけましたよ。たった今」
「ええっ?本当ですか?」
「明日モリセイさんの所に行きましょう。そこで話します」
「わかりました。ついに私達は自由になれるんですね?」
カンナさんが部屋から出て行き、俺はジャグジーに向かった。
この数日間のおぞましい出来事を全て綺麗に洗い流したかった。
ジャグジーに浸かると、何故かあのウェアウルフの絶頂顔からの頭カチ割られ目ん玉飛び出し映像が頭の中で繰り返された。
「本当に酷かった」
俺の中の衝撃映像ベスト一位になった。
俺はジャグジーを汚し終わると、久しぶりにエレファントノーズブリーフを履いてみようと思った。
気分転換しないと今日は眠れそうもない。
俺は自室に戻り、冷蔵庫から炭酸ジュースを出して一気飲みする。
数日ぶりなのに長い間飲んでなかったような気がする。
「げーーーフ」と長いげっぷをすると少しリラックスしてきた。
ふと棚の方を見る。まだ黒電話があるようだな。また掛けたら手練れのお姉さま方は来てくれるのだろうか?
ノーズブリーフが少し反応した。
しかしまた注射されて目覚めたらランツの家だったらどうする?
直ぐに萎えた。
あー。あいつのせいで俺の力が出ない。
しかし次の瞬間俺は棚から紙を取り、黒電話の受話器をあげて数字をダイヤルしていた。
ジーコージーコー。
俺の原動力はこれしかない。これしかない男なんだ。
プルルル、プルルル、プルルル、ガチャ。
「おかけになった番号は現在使われておりません」
番号が変わっている。やはり俺を罠にはめる為だけに用意された番号だったんだ。
「はあー」
俺はため息を付きベッドに倒れ込む。
でもそのおかげで要人が受けるようなサービスを受けられたんだ。あの超絶な技を。もう2度と受けられる事はないだろう。
俺はそのまま眠ってしまった。
次の日の朝、目覚めると凄く腹が減っていたので俺は直ぐにダイニングに向かう。
最後に食べたのは千切れたカップ麺だったからな。
ダイニングに入るとカンナさんがもう来ていた。凄く機嫌が良さそうだ。
「あっ光男さん。お父さんに朝食を食べたら直ぐに行くと言っておきました」
「そうですか。それじゃあ俺も朝食食べたら直ぐに準備します」
カンナさんはもう姫を倒した気になって浮かれている。よっぽど姫に抑圧されている日常なんだろうな。
ウンガブンガの王族は異常者ばかりだ。俺もランツには心底恐怖したし。
でもカンナさんには悪いが、ジーラ姫の俺への態度は最近悪くない気がしている。あんなに好かれていたら、たとえそれがあのジーラ姫でも嬉しいものだ。
そういえぱタチオくんはあれからどうなったんだろうか?ランツから逃げられていたらいいけども。
俺は朝食を食べるとカンナさんと飛行装置に乗り込みモリセイさんの研究所に向かった。
研究所の前の草むらに着陸し、そこで降りた。研究所の中に入るとモリセイさんが興奮気味に待っていた。
「光男くん久しぶりだね。ついに姫の弱点を見つけたんだって?」
「はい。俺のステータスを見る能力で姫の弱点を見ました」
「それで何が姫の弱点なんだね?」
「魔法です」
モリセイさんの顔が固まり
「んん?光男くん。よく聞こえなかった。もう一度いいだろうか?」
「ジーラ姫の唯一の弱点は魔法なんですよ。魔法耐性がゼロなので、魔法を喰らうと即死するみたいです」
「魔法?この世界に魔法が使える人がいるのかね?」
「さあ?いないんですか?こっちの世界に魔法使いは?」
モリセイさんはため息をついてカンナさんを手招きした。
そして小声でひそひそ話し出す。
「光男くんはランツに監禁されていたそうだが、頭がおかしくなってしまったのではないかカンナ?」
「いえ。そんな事はありません。いつもの光男さんです」
「魔法とか言い出したぞ。もう弱点を探すのは無理だから適当な事を言って元の世界に帰るつもりなのではないか?」
会話が全部聞こえているのだが、わざとやってるんだろうかモリセイさんは?
嘘ではない。俺はたしかに見上げた時にステータスで姫の弱点を見たんだ。
しかし、いつも俺が這いつくばってた時にステータス画面は出ていたな。
その時俺ははっとした。
そうだ土下座のポーズをしていたんだ。俺は土下座して上を見上げた時にいつもステータスが出ていた。
俺は直ぐに土下座して上を見てみる。
出た。ステータス画面が。しかしすぐ消えるんだ。どうして?
もう一度、土下座して上を見る。画面が出て来る。そして消える。
頭の角度なのか?画面が出たとこで止まってみたらいいんだろうか?
俺はもう一度土下座から上を見る。画面が出た所で耐えてみる。すると「消えない。ステータス画面が消えないぞ!」
モリセイさんは「もう駄目なんじゃないのかあの男は?完全にイカれてるぞカンナ」
よし。モリセイさんのステータスを見てやる。
モリセイ レベル1
備考
ケツの穴の締まりが弱い
ええ?これだけ?
じゃあカンナさんだ。
俺はちょっとドキドキしてきた。
カンナ レベル10
備考
天然な所がある
性感帯は首筋
か弱い感じだと思ったら俺より全然レベルが高いな。これじゃあ押し倒すことも出来なさそうだ。
しかし何だこの備考欄は?性感帯が首筋だって?
俺はカンナさんの首筋を見て興奮し始める。そして孔明服にテントが張り始める。
いや、いかんいかん。今じゃない。
そして俺はモリセイさんに言った。
「魔法がジーラ姫の唯一の弱点です。だから魔法使いを探してくださいモリセイさん」
モリセイさんはカンナさんの方を見て、やれやれといった感じで肩をすくめる。
なんだよもう腹立つな。俺は真面目に言ってるのに。
「もう行きましょう。性感帯が首筋のカンナさん」
「え?」
「あ、いや、なんでもありません」
帰りの飛行装置の中で俺は不機嫌になっていた。
魔法が無い世界で魔法が弱点なんて結局無敵ということじゃないのか?
それに俺が言ったことを全然モリセイさんは信じてない。
もうすぐ姫と結婚式だ。
「あああああああ」俺はなんか叫んでいた。
「荒れてますね光男さん」
「だって本当の事を言ってるのに俺は頭がイカれた扱いなんですよ」
「本当なんですか?姫が魔法に弱いというのは?」
「そうです。俺はてっきりこの世界には魔法が存在するのだと思ってました。もうどうしていいかわからないです」
外はびゅうびゅうという音がして飛行装置が揺れている。窓ガラスから隙間風が入る。
「今日は風が強いですね」とカンナさんが言った。
いや待てよ。最近魔法という言葉を誰かから聞かなかったか?
紙を倒すだけの役に立たない魔法。
風の魔法。
そうだ。タチオくんは風の魔法と言っていた。
「カンナさん。ランツは今どうしているんですか?」
「なんですか突然?もう私は彼の事を考えたくないんですけど」
「いや、正確にはランツでは無くてランツと一緒にダンジョンから出たタチオくんという子なんですけど。彼が風魔法を使えるんです」
「その子を探せばいいという事ですか?」
「はい」
「分かりました。やってみます」
大王宮に到着し、俺はカンナさんと別れた。




