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冤罪  作者: ニベア王子
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(第60回)囮捜査本番

さて、本格的に囮捜査が始まったが、ターゲット来店は明後日なので1日は暇ができた。

 ターゲットは明後日アフターとのことで、翌日はのんびりしようと思っていたら警部から連絡があり翌日も来るようにとのこと。やむを得ず昨日と同じ配置につくと警部のインカムから連絡があり


「すみません。本番は明日なのですが、予行練習をしたくて今日もお越し頂きました」


「予行?」


「ええ、ラブホテルでの通信練習をしたいので、今日一人アフターをOKしてもらいます」


なるほど、警察のやることは念が入っている。


クラブが開店し、馴染み客が来店してきた。おお、いつも彼女をアフターに誘い、体よくあしらわれている某社の部長さんがいる。1時間ほど軽く飲んで会計中に


「今日アフターいけない?」

かかった!


「良いですよ御店跳ねてからだから12時過ぎになるけど良いですか?」


「勿論もちろん、近くのバーで時間つぶしてるから大丈夫」


「じゃあラインしますね」部長さん、ニヤニヤと店を出た。


その後彼女はママに


「部長さんにアフター誘われて、近くで待ってくれているので今日は11時ころ上がって良いですか」


今日の目的を知っているママは


「勿論いいけどくれぐれも気を付けてね」


件の部長はクラブから100mほど離れたショットバーで一人グラスを傾けている


「まだ10時半かあ。大分待つな」


とぼやいていると、30分ほどでラインがきた。


「なになに、部長とアフターなら早くいってあげてだって。ママ、気が利くなあ」


クラブ前では他の客に見られたくないとのことで彼女からラブホテルの201号室に先に行く旨連絡あり


「おお!ラブホで合流かあ、話が早いなあ」ニヤニヤがとまらない


指定されたラブホの受付で201で待ち合わせというとあっさりカードキーをくれた。


一応ノックをして入室


部屋の真ん中のベッドにシャワー後と思わしきガウン姿の彼女がベッドに座っている。


「ああ、部長、お早いですね」


「うん、連絡もらってすぐ来ちゃった。なにか飲むかい」


「いえ、もういいです。ああ、でもせっかくだからシャンパン飲みましょうか、お祝いに」


「祝うことなんてあるかな?」


「今まで何度もアフター誘っていただいていたのに都合が合わなくて、今日はちょうど開いていたのでアフターに来れました。そのお祝いです。」


愚かなもので、部長さんはこれを彼女から部長に対する好意の告白と受け取った。シャンパンで乾杯し


一応礼儀だと思って「じゃあ、僕もシャワー浴びてくるね」と言ってシャワー室に。


シャワーを浴びて身体を拭き期待に満ちて部屋に戻ると彼女はおらずテーブルにメモ


「本当にすみません。急用ができたので帰宅します」


と、それにホテル代とシャンパン代と思われる紙幣が添えてあった。


落胆は大きいが「きっと何かよんどころない事情があるんだろう、また誘えば良い」と自分に言い聞かせていた。これが明日への練習とも知らずに。

ううむ、何もなかったのは良かったがなんか釈然としないな。何故だろう

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