(番外編)応用試行
自分にもエンジニア精神は残っているのか、新機能は他にも応用できる気がしている。たまには頑張らなくては
海外カーメーカー様との商談で、ピットサイン認識という副産物を得たので、その応用についてチーム内で話し合った。テーマの開示から半日後に自分にチャット連絡してきたのは、チーム内でもエースと考えているエンジニアだった。
「なにか応用を考え付きましたか?」
「はい、まだアイデアレベルですけど、元々のリストにある顔認識技術を使って、リストを交通標識にしたら運転中の標識認識漏れ防止になりませんかね?」
「おお、確かにそうだね、通知機機能を使って運転者に標識有りを伝えれば、事故防止にも貢献できるかもね。良いですね、それ」
「ありがとうございます」
これは良いと思ったので早速最寄りの県警本部長に相談すると
「おお、それは嬉しい、例のシステムは国内最大の自動車メーカーにも出しているんでしょ、そこ向けのシステムに載せてくださいよ。私からも先方に話しておくから。」
「ありがとうございます。早速私から連絡入れてみます」
その後、営業課長に連絡し、カーメーカー様導入窓口の方に説明すると、大乗り気で一日も早くアップデートするよう頼まれた。
ここは伝家の宝刀並木さんの出番である、事の顛末を説明すると
「なるほどわかりました。3日ください。今のシステムでは標識認識は出来ても、案内メッセージが流せませんので、その辺を作りこむ時間が必要です」
勿論条件は承諾した。
3日後
「認識リストのエクセルシートに画像ごとに1行追加してそこにかかれたテキストデータを読み上げるようにしました。これでいかがですか?」
勿論OKである。
早速、この3日間でチームメンバーに撮りためてもらったドラレコ動画を使って、性能確認を実施した。さすがは並木さんで、100点満点である。品質保証部もテストの様子を見て合格をくれた。
翌日、カーメーカー窓口の方にアップデート版をお渡しして、その旨連絡すると
「早速対応ありがとうございました。もちろん当社で性能チェックしますが、合格すれば搭載車種が一気に増えると思いますよ。社内ではこれを使って自動運転のアシスト技術にするプランも並行検討中です。
期待してください。
私は、担当者にお礼を言って電話を切った。
勿論このアップデート版は海外カーメーカーにも出荷する。
以前聞いた話では、欧州の高速道路、例えばアウトバーンでは頻繁に制限速度が変わるので標識認識の自動化が難しいと言われてきたが、これを使えば対応できるかもしれない。いよいよこのシステムが世界制覇してしまう・・・のかしらん。
勝手に自分のエンジニア魂復活!と舞い上がっていたが、結局応用したのは既存技術だった。
やはりチーム力の勝利であろう。営業さんも興奮気味にドイツの大手カーメーカーに売り込むぞ!って言ってたし、その意気で米中も頼みますよお