(第47回)海外カーメーカー様
カーメーカー様納入は何とか終わったが、イギリス大使館はどういう用件なのかしらん
先日イギリス大使館で相談されたカーメーカーはF1にも出場している有名なスポーツカーメーカーだった。さほど生産台数も多くないので話題作りに話に乗ろうかと思ったら、どうやらシェア拡大を目指してSUVを投入する計画があるようで、そこへの搭載が目的らしい、また、F1マシンにも搭載して、時速300km越えでも観客を識別できるかを試したいという要望と、さらにピットサインも認識してレーサーに音声で伝達する改造もリクエストされた。シェア拡大とはいえ微々たる台数にそこまで労力をかける必要性が理解できなかったが、開発費概算をぶつけると意外にもOKだったので、応用が利く技術と考え、引き受けることにした。この話をまずは並木さんに相談すると、
「認識速度はダミーデータで時速250Km/hまでは確認済、ツールで速度は自由設定できますので半日もらえれば400Km/hまで確認しますよ。」とのことで、恐れ入るばかりである。
翌日、並木さんから時速500まで大丈夫との回答があったので、それをもって社内の稟議を通した。
ピットサインは決まった文言ではないので、顧客からサンプルを提供してもらい、提供されたものは認識するが、即興で書かれたものは認識を保証できないという性能で理解をいただいた。また、文言の追加に関して1件当たりの費用・時間を提案して受理された。
せっかく開発したので、先日納入した国内カーメーカーにこの機能をそれとなく紹介すると、時速500まで使えるならルマンの一番長いストレートでも使えるからという理由で提供要請があった。レース用は台数当たり費用ではないのでそれなりにお高くなるが、レースでの安全性、走行性能向上と考えれば安いものだという理由で即決いただけた。しかし、くれぐれもイギリスのカーメーカーには秘密にしていただかなくてはならない。営業課長は「連中はライバルだけどお友達でもあるから多分筒抜けですよ」とクギをさされた。まあ、筒抜けであっても、イギリスメーカーが我が社を弾劾しない限り問題ないので、事が起きるまで気にしないことに決めた。でも、来年のルマンで全車に装備とかなれば、大きな宣伝になるんだけどなあ。
ちょっと野望が大きすぎるかなあ
予期せぬレースへの適用ということで、思わぬ機能拡張が進んだ感がある。色々応用ができそうなので、顧客提案待ちでなく自分達でも考えねば