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冤罪  作者: ニベア王子
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(第44回)全国拡販加速

番外編に記したように、一躍脚光を浴びてしまったので売り込みにいかなくとも、方々から説明に来いという引き合いが続々来ている。嬉しいはずなのに、何故か不安なのはどうしてだろう?

営業課長に不安を伝えると

「設計課長はまじめに考え過ぎですよお。とにかく、引き合いはたーーーくさん来ているので、できれば全部同行願いたいところですが、お忙しいでしょうからこのリストから行きたい顧客を選んでください」

リストを見て驚いた。すでに50社以上打診が来ているのだ。しかも国内最大=世界最大の自動車メーカー

超大手損害保険会社も入っている

「なんで損害保険会社の引き合いがあるんですか?」

「ああ、最近は自動車保険で、ドライブレコーダーと連動しているサービスがあるじゃないですか、あれにこのシステムをつなげれば街中パトロールカメラが一気に増えるでしょう。それを警察に売り込むみたいですよ」

「だったらウチと契約しないで警察に映像提供する提案をすれば費用も掛からないし、良いじゃないですか」「警察向けのサービスは確かにそうですが、街中で不審者を見つけたら、自分も知っておきたいじゃないですか、それが顧客サービスとして受けると踏んだのでしょうね。まあ、最終的には警察のデータベースから不審者アラームももらおうと思ってるかもですが」

なるほど、いいことづくめだな。

「そうすると自動車メーカーさんはいらないのでは?」

「いやいや、最初から車に装備されていれば安心感が違うし、保険会社提供になると保険料が上がるでしょう。最初から車に積まれていれば、自動車メーカーが保険会社に圧力かけて保険料を下げさせることも考えているんじゃないかなあ。」

皆さん恐れ入った商魂である。

「両者を天秤にかけるなら莫大な開発費をいただいている自動車メーカー優先と思いますがいかがですか」

「勿論設計課長の判断にお任せします。一応、自分の意見を言いますと自動車メーカーでカバーできるのは新車販売分だけですが、保険会社なら中古車販売時も関与可能です。」

ううむ、正論だが自分で判断するのは危険と考え、責任逃れで事業部長に相談した。

「そりゃ保険会社優先しようよ」「え?自動車メーカー怒って開発依頼減ったりしませんかねえ」

「それはあるかもしれないけど、差し引きどっちが得かはわからないでしょう。社長とか心配しているなら自分からこう指示しましたって言っとくから大丈夫」すべてお見通しである。自分はお礼を言って退室し、営業課長に結論を伝えた。

「設計課長、またおいしいところ盗られましたね」「え?そうなの」

「そうですよ。事業部長は長いスパンで会社がどうなろうと関係なく、目の前の利益確保に全力集中ですよ、役員になったといってもまだ平の取締役だし、直近で実績積み上げれば常務、上手くいけば専務となって、定年から解放されるかもしれないですからねえ」やられた!またしても。

「しかし、承諾しちゃったなら保険会社に明日行きましょう」自分は力なくうなづいた。

毎度のことであるが、自分の考え不足には驚くばかりである。それを「お人好し」と前向きに解釈してくれる上司がいることを祈るのみである

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