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冤罪  作者: ニベア王子
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番外編:予測変換実績

拡販に当たり、候補者リストが無い顧客は導入を足踏みする=予測変換での検挙実績なし=がネックと分かった。本件は、仕込みを入れれば簡単に実績を作れるが、バレたら信用は失墜し、導入済の顧客もクレームというか返品されるであろう。しかし、自分で罪を犯すワケにもいかず、神頼みしかない。

そんなある日、JRの近隣ターミナル駅から電話があった。

「ああ、設計課長、ご無沙汰してます。」駅長である。ご無沙汰はこちらの責任なので丁重にお詫びを返して要件を伺った。

「朗報、だと思うのですが、リストに無い方の痴漢事案が発生し、先ほど身柄確保して警察に引き渡しました。」大朗報である。

「この事件を公にすることで、より今後の痴漢事件発生防止につなげたいと思います。御社社名も公表させて頂けば、宣伝にもなると思いますが、いかがでしょうか?」

渡りに船、であるが自分の一存では回答できないので丁重にお礼を申し上げて、2日後回答にさせていただいた。電話終了後、早速営業課長と共に事業部長室で相談した。

「おお、ついにリスト外メンバが摘発されたの?やったね。で、何で相談なの。公表してもらおうよ、できれば親会社名出して。」

「え、良いんですか。許可取らなくて」

「そこは抜かりはないよ。系列会社室長に、今後脚光を浴びる機会が有ったら僕の判断で親会社名使って良いことにしてもらってるからさあ」さすが、出世する男は違うねえ。

「ありがとうございます。折角なので、その旨、営業課長から駅長に回答いただいて良いですか」

「え、僕の手柄になっちゃうけど、良いの」

「問題ありません。やっぱり営業さんが回答したほうが重みがあると思います」

「責任重大だなあ。まあ、他ならぬ設計課長の意見なので、自分が回答しましょう」

「ありがとうございます」この会話をした2日後に、JRは記者会見を行い。

Hグループの i社が開発したシステムで、前科の無い犯人を検知してアラームをあげ、集中監視している中で犯罪を犯し身柄確保に至った経緯を発表した。しかも、今後3年間でJR全路線に配備する計画も合わせて発表があり、大きな話題となった。

するとすぐに社長から電話があり、通常年末にまとめて行う社長賞を「号外」の形で単独授与するとのことだった。また、翌日広報から連絡があり、雑誌社から開発者への取材依頼が殺到しており、対応依頼があった。確かに開発者であり、すべての経緯を知っているので、ほかの人間には頼めない。しかし新聞含めるとのべ10社もあり、対応で丸3日つぶれてしまった。記事が掲載されたことですっかり有名人になった自分にはついにテレビ出演のオファーがあったが、これは丁重にお断りした。出る杭は打たれるものである。自分は上司として事業部長を紹介し、とにかく話題に乗っかりたいTV局は事業部長を出演させ、話し上手な事業部長は一躍時の人となった。めでたしめでたし


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