(第41回)システムの行方
さて、ずっとわき道にそれていたが、やはり開発に戻ることにしよう。
あと、現状での拡販も考えなくちゃな
新機能開発は必要だが、現在までの成果や課題も知りたいところである。
JRでは乗客にリストメンバがいると車内放送で、最新の痴漢防犯、記録システムを搭載していることを告げており、これにより発生数が激減しているとのこと。当社には親会社の名前を使いたいと打診が来たが、それは現在事業部長と社長が交渉中である。一応全社費用で開発しているので親会社籍の社外取締役はこのシステムの存在を認知しており、報告しているはずであるが万が一事故でも起きたら自分に飛び火することを恐れ、報告していないようで社長がグループ会社室の重役と会話したら、そんなシステムの話は聞いていないとのことで改めて自分がプレゼンする羽目になった。無論成果などおいしいところは事業部長が先に言ってしまうので、自分は開発に至った経緯と技術的な内容説明に終始した。
説明が終わると、グループ会社室長が
「いやあ、もっと早くこの話聞きたかったですねえ。これほど成果が出ているなら。警視庁、警察庁にも売り込むべきじゃないの?」
「はい、自分の考えは、システムに不具合が無いことに確信が持てれば思い、申し訳ありませんが、JR様も県警本部様も正直通過点です」
「ウーム、慎重なのはわがグループのポリシーでもあり、間違えていないが、ビジネスチャンスとしては他社が追従していない今だと思うけど、見極めはいつまでを想定してますか?」
「正直申し上げて1年です。1年のサイクルを通して無事稼働すれば懸念が大幅に減るというのが自分の見立てです」「事業部長と社長も同じですか?」
「今、県警本部でもJRでも大変好評なので、この機に横展開を図れば必ずお客様のご協力が得られると思います。警察庁は後にして、JRと都道府県警察での拡販は今が商機と思います。」と社長。
「私もそう思います。ひょっとして体制に不安がありますか」「いえ、拡販に備え、拠点リーダーになれる人材を育成しており。社内外で100名ほど準備済です。」
ゲゲッ、言っちゃったぞ!
「素晴らしい。それでは早速グループ営業にこのシステムをプレゼンしてグループ全体で拡販しましょう。そのキックオフ会議を来月1日に開催しますので、対応いただけますか。」
断れるわけがない。
資料をPDFにして室長にメールし、出席者に配布いただくことになった。
まさか親会社の社長とか出てこないだろうなあ。
ところで、売り上げ、利益の配分とかどうするんだろう。それは事業部長が決めるでいっか。
何だか親会社都合で全国の拡販活動が始まっちゃうけど、大丈夫かなあ