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冤罪  作者: ニベア王子
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(第36回)本格稼働JR様編

いよいよ大規模稼働が始まりそうだ。ちょっとどうなるか想像がつかないなあ

さて、JR殿と費用合意、契約書押印も終わり、本日より都内10駅で稼働開始である。さすがに路線数が多く、カメラコマンド入手~適用完了にはまだ一ヶ月ほどかかるので、まずは先日まで最寄りターミナル駅で稼働していた3路線のみ対応である。しかし、乗客数はざっと10倍になり、Excelの候補者リストもほぼ満員御礼状態である。並木さんにはキャパアップをお願いしており、Excelファイルとしては現状でも増員可能だが、監視プログラムの動作が追いつかないらしい。サーバーの強化を大急ぎで進めるべく、同期の調達課長に泣きついた。最優先対応してくれているが、それでも物がそろうのが一週間後、それから並木さんのセットアップで2週間必要である。タノムカラそれまでの間にキャパオーバの事件が発生しないことを祈るばかりである。一応システム的には目一杯になったらセカンド側に切り替えられるようになっているが、さすがにそこはきめ細かく試験できていないので見えていない不具合が

無いことを、無神論者の自分が、神にも仏にも祈った。一か月後には警察システムも稼働開始、警察からの注文で、JRシステムで欠陥が発覚したら無条件で導入中止できることが契約書に謳われているので、へまはできない。並木さんにぼやくと、「自分も高負荷でのシステム切り替え試験は出来ていませんが、高負荷信号を疑似発生して切り替える試験はやっているので、心配はしていないとのこと。

 やっぱり、このシステムは並木システムなのだと痛感する。きっと胃に出来かけた?潰瘍?も徐々に回復するであろう。しかし、10駅も同時稼働するとさすがに現地立ち会いはできないので、自社自席からリモート監視、10秒おきに一駅ずつ自動でモニタ切り替えしている。但し、もちろんアラーム発生すればその駅に切り替わるようにしてある。稼働2日目の朝8時、通勤移動中に会社スマホがアラームを告げた

画面を見ると、都内で最も乗降客の多いマンモス駅でアラーム発生、候補者が乗車しているようだ。駅員が手動で

その男の手元をズームしているが、今のところそれらしい動きは無い、近隣乗客も狙われそうな女性はいないワイヤレスレシーバで駅員の音声を聞くと

「こりゃやりそうもないね、こいつは太めのおばさん専門だけど、まわりににいないし」

それを聞いて安心し、レシーバを外した瞬間、別駅でアラーム発生。これも候補者を見つけて駅員が狙っている。再びレシーバ装着

「うーんこりゃやるかもな。奴は女子高生専門だが、周りは女子高生だらけだ」げっ!いよいよ事件発生か?と思ったその時、また画面切り替わり、先ほどのマンモス駅

「おいおいヤツ好みの女性がうちの駅でぞろぞろ乗車したぞ、でも次の駅にはこのシステム無いし、

一応電話で警戒を伝えておこう、8号車2番ドア付近、可能なら1名乗車願う、と。ああ、でも次の次の駅はシステム有るから、そっちに連絡しよう」なかなか頭の回る駅員である。でも、できれば手分けして

次の駅にも注意喚起してほしいなあ。これで次の駅で痴漢発生して取り逃がしたら10駅指定した役員の責任問題にならないかしらん。自分がやきもきしていると、気が付いたら電車を乗り過ごしており、出社しそこねたようだ。腹を括ってこのまま都内まで行き、運用を相談しよう。などと思いを巡らしていると

再びアラーム、マンモス駅の次の駅で男が現行犯逮捕された。どうやら男好みの女性たちは皆警察官だったようである。警察もやるねえ。囮捜査で懲りて、罠方式に変えるとは。しかし警察はどうしてこの男が

この電車に乗っているのを知っていたのだろう。

JR役員を丸め込んで10駅に駅員のふりをした警察官を配備したのでは?

そうすれば警察での導入も進め易くなるもんなあ。自分で勝手に納得し、今日はJRに乗り込むのはやめて、遅刻だが出社することにした

うーん、みんな強かだなあ。自分がとんでもないお人好しに思えてきた。文句も言えないし。まあ、仲良く使ってください。この土産話を事業部長はさぞ喜ぶことだろうなあ。

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