(第30回)ターミナル駅配備
遂に近隣ターミナル駅での稼働に向けた打ち合わせ日だ。順調に進みますように
あれから3日後、私は一駅隣の近隣では最大ターミナル駅の駅長室に居る。
営業課長と共に駅長及び幹部駅員数名に自己紹介して、システムの概要説明を実施した。
駅長の第一声
「ありがとうございました。お隣の駅長からあらましを聞いていたので、より一層理解が深まりました。
予定では訓練のつもりが実際の事件が発生し、解決に大きな力を発揮したと聞いています。ご存じの様に当駅は近隣では最大の乗降客数であり、JR以外の鉄道も含めるとほぼ毎日のように痴漢事件が発生しています。本来なら全路線に配備いただき、JRだけでなく当駅を利用するお客様の安全確保にご尽力いただくべきところですが何分自分の権限では他社路線の容疑者リスト提供を命じることもできないので、今回はJR3路線限定でお願いします。」
「承知しました。では事前にお渡ししたエクセルフォーマットで容疑者リストは作成いただけていますか?」
「勿論です。どうやってお渡しすればいいですか」
「弊社システムのサーバ上に御社向けに公開フォルダを作成、提供しますので。そこに格納してください
格納いただいた後に、システム再起動すれば稼働開始です。お手数ですが受け渡しをお願いする方を人選して、メールアドレス教えてください。また、それに加えて、列車内のカメラと通信できるよう我々への権限付与をお願いします。カメラのリモート操作コマンドはお隣駅で教えていただいたものと同じでしょうか?もし路線ごとに異なるのであればそれもご提供ください」
「なるほど、お隣駅と当駅では2路線は同じなので共通です。残る1路線は車両メーカーが違いますので、提供に関しては現在メーカーに許可申請中で、まだ一週間ほどかかる見込みです。」
「状況は分かりました。ではまず2路線で稼働開始して、残り1路線はコマンド提供いただき、弊社システムに組み込み後稼働とさせてください。コマンド提供後、埋め込みに3日かかります。というか
コマンドが複雑ならもう少しかかるでしょうが、3日というのは前回の実績です。」
「わかりました。目安3日ですな。余裕を見て一週間位と思っておきます。」
さすが巨大駅の駅長だけあって頭の回転が速いようだ。
前回は並木さんが1日で埋め込んでくれたものを社内で品質管理課長と動作確認に2日要したが、機能が多ければもっとかかるので一週間は妥当な線であろう。
まずは、すでに使えるようになった2路線で前回同様の動作確認をしよう。
頃合いと思ったのか、営業課長が会議を閉めにかかった。
「本日はお忙しい中お時間頂戴してありがとうございました。精一杯頑張りますので、システムが継続利用必要とお考えの際には有償導入をご検討下さい。
「そうですね。いつまでも只では営業課長も設計課長も会社に顔向けできないですからね。
勿論良い物であれば予算確保して費用お支払いしますので、稼働開始したら有償時の費用も教えてくださいね」
これが本日の結論となった。さあ、早く3路線目のカメラ遠隔コマンドもらいたいなあ。
1路線コマンド違いは想定していなかったが、メーカーが違うのでは仕方ないね。フォーマット提供してくれるといいけど・・・