【第3回】始動(まだアイドリング)
さて、開発費が認可されたのでいよいよ始動である。
まずは事業部長に約束した特許化が必要でこれに失敗すればおそらく開発は中止となり提案した我が身が危うくなる。
というか利に聡いSさんのことだから開発の有望性を間違いなく社長にプレゼンしているはずなので
スタートで躓けば、何が何でもワタシの責任にして、自分は難を逃れなくてはならぬ。はずである。
責任を取るといっても一回の課長風情に取れる責任はせいぜいボーナスを半分に減らす程度であり
それでは投資費用の1割にも満たない、仮にゼロにしたとしてもせいぜい1割回収程度である。H\Hグループでは懲罰人事として課長を新人並みの職位に降格することができない
=前例無し
=責任とれない
のである。
せいぜい私の顔を見るたびに嫌味を言って鬱病にする位が関の山であるが
一つ間違えるとハラスメントで自分のみが危ない=それもできない、であろう。
しかしわが身が安全とは思いSさんには積年の恨みもあるが、最初に承認してくれたK部長とE
本部長には恨みなどないので、この二人のために頑張らねばならぬと思い
最初に公知例を調査した。
その結果、屡次の公開広報無し=新規の可能性ありだった。
そこで特許化する技術のメモを作り社内の知財部門に
メールで送付し確認依頼した。
課題:混雑した公共交通機関内で男性が近隣の女性に
猥褻な行為を行うことがあり、鉄道各社では電車内に監視カメラを装着しているが
混雑しているため死角が多く、カメラ映像だけで犯罪照明ができない
本件での取り組み
:性犯罪者が持つ特有の表情、仕草を画像認識で乗車前に検出し、該当者情報を
事前に警備関係者に通知する。
警備担当者は被疑者近傍で乗車し、現行犯で確保する
本件課題:性犯罪者固有の表情、仕草データ無し
取り組み:①社内アンケートで候補者を集めデータ収集
②営業協力で社外からも上記データ入手、データが多いほど確実性向上
案の定、知財部門回答は「本件課題に対する取り組みで成果が出たら権利化を検討する」
であった。やっぱ、そうだよねえ。
さて、社内アンケートから始めますか