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4 チンピラ登場

 日も暮れかけていたので、宿を探すことにした。

(人に聞いてみようかな)

 そう考えたが、あとにしようと思う。


「ミーナット。空から宿を探してきてよ。多分、看板があるから」

『わかった。見つけやすいとこにいてね』


 ミーナットが飛び立つ。

 自分も探そうと思い、大通りの人が向かっている方向へと向かう。

 宿は早めに見つけたほうがいいと思うが......いかんせん、気になるものが多すぎる。

 人の通りが多くなり、店も多くなるにつれて、見たことのないものが増えていく。

 周りに気を取られ、フラフフラと歩いていると、誰かにぶつかってしまった。


「わっ、すいません!」


 言った後に気づく。その人は大柄な男性で、見上げるほど大きい。それに、見るからに不機嫌な様子だ。ぶつかってしまったせいだろうか。


「あ?てめぇ、謝るだけでいいと思っているのか?」


 にらみつけてくる瞳は、いら立ちだけでなく、なんだか腹いせをしようという獣のようにギラギラしたような気持ちも垣間見える。

 これは早く逃げなくては。

 ミーナットは今いないので、自分で何とか対処しないといけないが、それをするほどの力はあまりない。


「おい、何も言わないなんてさぁ、態度が悪いんじゃないか?」


 しばらく黙り込んで相手を見ていると、耐えきれなくなったのか、怒鳴ってきた。


「おい、何とか言えよ!気持ち悪いな!」


 こちらのセリフだと思った。こんなに突っかかってくるなんて、態度が悪すぎる。

 ただ、相手をすると、さらに突っかかってくるのはわかっているので、無視をする。

 すると、急に手を伸ばし、僕のフードつかんだ。

 驚き、フードを押さえてにらみつける。


「なんなんですか、あなたは」


 相手が少し驚いた顔をする。

 抵抗するとは思わなかったのだろうか。


「謝ってほしいなら謝ります。けど、それ以上を要求する理由は何ですか」


 言い切った。けど、一層強い気迫でにらんでくる。その気迫に驚き、動けなくなる。


「なんだじゃねえんだ。お前何にもわかってねえ!謝るだけじゃなく、態度で示せ!!」


 耳障りな声が、体中にまとわりつく。いつも、高圧的な態度を取られると、動けなくなる。

 本能が、逆らうなと言っているようだ。


「本来なら、俺に口答えするやつはいないんだよ。なぜならなぁ」


 助けを求め、目だけを動かして周囲を見渡す。だが、だれもが遠巻きに見ている。

 慌てて男性を見ると、こぶしを振り上げる姿が見え、反射的に、目を閉じる。


「俺は、この町で一番の実力者だからだ!」


 風を切る音が聞こえる。このまま、殴られるのだろうか。



『何してるの、クソ野郎!!』



 聞きなれた声が聞こえ、目を開ける。するとそこには、短い白茶色の髪を揺らした青年が、すごんできた男性を蹴り飛ばす光景が映っていた。


「なっおま、ぐはぁ!」

『お前なんて、地面にはいつくばってろ!』


 青年が追加で蹴りを入れ、こちらに駆け寄ってくる。


「大丈夫?フォゲット。何をされた?もっとけろうか?」

「だ、大丈夫。何かはされたけど......わっ」


 無言で男性を踏みつけると、軽々と僕の体を持ち上げる。


「とりあえず目立ってるから、宿にいこう!」


 すると、あり得ない速度で走り出し、飛び、屋根の上に着地する。そしてそのまま、飛ぶようにはねて移動する。

 下を見ると、思った以上に人が集まっていたのが分かる。

 こちらを目で追う人や、倒れこんだ男を心配する人。

 そんな場面も、すぐに流れ、見えなくなった。

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