11 友達への紹介
「しかし、どこでこんな子を見つけたんだい。そういう出会い、君はないと思っていたんだけど」
「違うよ…。お師匠様関係だよ」
少しの間、言い合いをしていたマイさんとワカさんは、ふと思い立ったのか聞いた発言で終わりを迎える。
マイさんの返した言葉にほうと一言呟き、こちらに自然な動作で近づく。目の前に来るとそのまま視線を合わせるようにしゃがみこんだ。珍しい黒い瞳を細めてこちらを見て、パッと笑顔を作った。
「綺麗な青い髪だね」
「えっ」
慌ててフードを押さえるが、意味はないかと思い手を放す。
「フード、取りましょうか?」
「いいの?見てみたい」
その言葉を聞いてからフードを取る。特に抵抗があるわけでもないし、師匠から禁止されているわけでもないのでいいだろう。
あらわになった顔はいくらか整っており、それそりも目を引く青く艶めく髪と煌めく瞳を揺らしていた。
普通なら見られない髪を揺らしながらワカさんを見ると、感心したように、また、興味を持ったのか立ち上がり、体を揺らしながら凝視していた。少し恥ずかしく思い視線を外すと、マイさんが目を見開いていた。
やっぱり綺麗と呟いているミーナットを撫でて少し心を落ち着かせる。すると、マイさんが驚いて開いた口を動かした。
「お師匠様子持ち疑惑発生?」
「え?あ、そうか。君の師匠もこんな感じの髪色だったっけ」
「ち、違います…」
誤解が生じた。
確かに自分でも似ていると思ったが、本人からも違うと聞いているので断言できる。少し複雑そうな顔はされたけど。
「にしても、そうかぁ~。これは目立つね。隠す理由が分かりやすい」
「そうですか…?」
ひどく納得したようにうなずかれる。いつの間にか一歩下がったワカさんも、マイさんと同じ姿勢でうなずいていた。
そこまでうなずかれるものかと思うと、不意にワカさんが机の上から一枚の紙と羽ペンを取り出した。そこに何か書きながら世間話をするように言った。
「まあ、確かに珍しいし目立つけど、そんな気にする人なんて少ないよ。私だって黒髪で珍しいけど、数日たてば気にする人なんていなくなるから」
「そうなんですか?」
「そう。まあ、私はまだいいけど、青髪なんてほぼ見たことないからどうなるかは知らないけど」
「そうですか。あの、それは一体何を?」
「ああ、これ?」
ひらひらと紙を振り、こちらを見るワカさんにうなずく。すると、少し恥ずかしそうに笑い言った。
「名前とか、覚えるのが苦手でね。書いとかないとすぐに忘れちゃうんだ。えっと、君がフォゲットで、そっちのフクロウがみ、み?」
『ミーナットだよ』
「そう、ミーナット。え、喋った?」
「あ、そうそう、その子精霊なんだよ。驚いた?」
「いや、別に」
そこで言葉を止めて、よく見るといくつか名前が書かれた紙を机に置く。そして、うっすらと微笑を浮かべて言った。
「こんな子だけど、仲良くしてあげてね」
「何でそんなこと言われなきゃいけないの?」
僕はうなずいて了承したが、ミーナットはそっぽを向いた。




