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伯爵令嬢は婚約破棄をされ悪役令嬢と言われたので悪役として第一王子に立ち向かいます。

掲載日:2021/11/12

20作目です。


宜しくおねがいします。

「伯爵令嬢!貴様は俺様の婚約者にふさわしくない。よって第一王子である俺様は貴様との婚約を破棄し男爵令嬢ちゃんと新たに婚約を結ぶこととする!」


 王立学園の卒業式でそう宣言されたのは婚約者である俺様第一王子殿下でした。私は婚約者として恥ずかしくて眩暈を起こして倒れてしまいそうです。


「アホだアホだと思っていましたがここまでとは・・・・。婚約を破棄するのはともかくまわりの方の迷惑を少しは考える気はなかったのでしょうか?」


「貴様不敬であるぞ!」


 そう言って壇上で男爵令嬢さんをひっつけて私を見下ろしながら殿下が続けます。


「そうですよ。そうやっていつも人を見下したような事を言うから悪役令嬢なんて呼ばれるんですよ。」


 そう言ってたわわに実ったもので殿下の腕を抱えるようにしながら男爵令嬢さんが私に勝ち誇った顔を向けてきます。見下ろしているのはあなたたちですけどね。


「不敬とかおっしゃる前に状況を考えてくださいませ。在校生代表でもないのに、いえ代表でも駄目ですが、最下級生の殿下が卒業を迎えられた先輩方の卒業式を台無しにするとかアホの極みですよ。」


 今日の卒業式は1年生の自分たちではなく3年生の卒業を祝うものなのです。脇役が主役食ってどうするよ。アホじゃねーの?いけません。ちょっと淑女らしい言葉使いから外れました。


「そっ、それは確かに卒業する先輩諸氏には悪いとは思うが、しっ、しかし貴様の非道を告発するには今を持って行うしかないではないか。男爵令嬢ちゃんに後2年も悪役令嬢である貴様のいじめを受けさせろとでも言うつもりか!」


「一応聞いておきますが私の非道とは一体どのような事を指していらっしゃるのでしょうか?」


 大したことではないと思いますが聞いておきます。




「まず最初に男爵令嬢ちゃんの教科書を破いて捨てたであろう!そうだな男爵令嬢ちゃん。」


「はい夏休みが明けてから机の中を見てみたらぼろぼろになった教科書が・・・。」


 殿下の発言に男爵令嬢さんが同意します。


「なんのことかと思えば・・・それを私がやったという証拠があるのですか?それ以前に置き勉は禁止されています。校則違反ですよ。」


 かつて似たような婚約破棄事件がありその時も教科書問題が出てきたため今は置き勉禁止です。また学園自体が高位貴族の居住エリアにあるということもあり、馬車通学15分以内の距離に居住する高位貴族以外は寮生活を義務付けられています。学生寮は学園から徒歩10分以内のところにあるのですから教科書を持ち帰るのに苦労はありません。小学校低学年に重量級のランドセルを背負わせているわけではないのですよ。


「なっ!だからといって教科書を破いて良いわけではなかろう!」


「そうです!そうです!」


 二人してくだらない文句をたれていますね。


「私がやったわけではありませんわ。そもそも夏休みに教科書を持って帰っていないということは休み中に勉強していないということではありませんか。そんな余裕を持てるほど男爵令嬢さんの成績は優秀だったかしら?確か男爵令嬢さんは200人中170位前後だと思ったのだけれど?」


 学園の成績は試験ごとに、また総合成績は年度末に張り出されます。馬車通学の高位貴族の場合は自宅で家庭教師にということもありますが、寮生活者は教科書を持ち帰らないとなかなか勉強も大変だと思うのですけど・・・。


「ちょっと成績が良いからってそんな言い方しなくてもいいじゃない!どうせ私より自分の方が優れているとでも思っているのでしょう!?」


 男爵令嬢さんが食い下がってきます。


「当たり前です。悪役令嬢より優れたヒロインなんて存在しねぇですわ!実際に私は学年首席です。言い返したいのなら私に勝ってからにされることをおすすめしますわ!」


 そう言うと殿下が言い返してきます。


「ええい。もういい!そんな自分の成績をひけらかすようだから貴様は可愛げがなく俺様に愛想を尽かされるのだ。」


「私の成績プラス100位の殿下に言われても困りますわ。王家の威信をかけてせめて平均以上と陛下からも王妃殿下からも言われておりましたのに・・・・。来年からはFクラスですわね。」


 王立学園は1クラス20人で成績順にAからJクラスまでに振り分けられる。ちなみに王族がFクラスというのは王国史上初の快挙?らしい。元からそれほど出来が良くないのに男爵令嬢さんとの不貞行為(エロ)に邁進していれば当然ですわね。




「クッ。勉強のことはどうでもいい。次だ!貴様は取り巻きである騎士爵令嬢Aと騎士爵令嬢Bと共に3人がかりで男爵令嬢に詰め寄って罵詈雑言を浴びせた挙げ句スカートを引っ張ったりあまつさえ髪を切ったりといじめを繰り返していたそうではないか。証拠は上がっているのだぞ!」


「そうです。そうです。いくら高位貴族だからって女の髪を何だと思っているんですか!」


「そんなことですか・・・。」


 私はまたも溜息を付きます。


「そんなこと?そんなことではない!俺様の未来の妃の髪を切るなど暴行ではないか!」


 殿下が詰め寄ってきます。


「まずスカートの件ですが、彼女に注意をしたとき彼女のスカートは膝上15cmでした。校則では膝上5cm前後とされています。明らかに短い。」


「こっ細かいよ・・・。お前神経質すぎだろ。それにセクハラだ!」


 殿下がちょっと引いていますね。


「同性なので問題ありませんわ。」


「問題ありまくりです。それに神経質すぎですよ。別に誰も困らないことで文句を言わなくたって・・・。それとセクハラは相手がセクハラだと思えば同性でも成立するんですよ。太ももに定規を当てられるのだって恥ずかしいんですからね。」


「誰も困らないなんてことはありませんわ。礼法の先生方を中心に困っていましたよ。『男子の欲求を無駄に刺激するな。絶対領域などありえない!』とね。それにパンツじゃないから恥ずかしくありません。むしろパンツ見えそうだったのが問題なんです。」


 正確には「パンツ見えてんぞ、あの女。」という話題をどうにかしろという生徒会と先生方からの指示だったんですけどね。淑女教育を施す学園としてはそれはそれは困ったことだったと思います。


「さては貴様は太ももフェチだな。パンツを目くらましに男爵令嬢ちゃんの太ももを弄り回すとはとんだ変態さんだな!」


「そうですよ。『パンツ履いてない』じゃないんだからいちいちチェックしないでもいいじゃないですか!」


 この変態共が!清く正しい悪役令嬢に向ってなんてことを言いやがるんですか。


「変態って言う方が変態なんです。大体殿下が男爵令嬢さんのスカートの中に手を入れていることが校内でたびたび目撃されていることについてはどう思っていらっしゃるんですか?」


「あっあれはたまたまだ。」


「タマタマ触った手でスカートやシャツの中に手を入れていると・・・。トイレに行ったら手ぐらい洗ってください。」


 男爵令嬢さんはネクタイなんかの乱れも指摘されていますからね。


「貴様には関係なかろう。次だ次!」


 これは本当に洗っていないのか?ごまかしましたが忘れませんよ。




「次に髪の件ですが。校則で染色は禁止されています。」


 私がそのように指摘すると


「別にいろいろな髪色の生徒がいるのだから構わないではないか。強制的に切るなど人権侵害であるぞ。」


「そうです。そうです。」


 アホコンビが答えます。


「これは過剰なおしゃれで学業に支障をきたさないためということで定められた校則です。ましてや生え際がピンクなのに前の方の一部だけ緑とかありえませんよ。その部分だけ切らせていただいただけですわ。そもそも染めたら切ると校則にも明記されている事項です。それにモヒカンにしたわけでもありませんわ。ちなみに校則で髪型の指定もありますから殿下もモヒカンは駄目ですわよ。」


「誰もそんな髪型にはせんわ。校則とはいえ貴様がやるのは私刑ではないか。ああ取り巻きと一緒にやったのであったな。この性悪女め!」


 ここぞとばかりに殿下が責め立ててきます。


「彼女たちは取り巻きではありません。まさかご存じないとは思いませんが私と彼女たちは1年生の風紀委員ですわ。風紀委員は風紀を守るのが仕事です。当然その中には校則を遵守させることも入っておりますわ。」


「風紀委員だと!?」


 風紀委員は成績優秀者の中から立候補で選ばれます。生徒会とからは独立した組織でかなりの権力を持っています。生徒会および教員会議の同意を得た発議か生徒の1割の署名による発議で生徒総会による投票が行われ過半数による賛成がなければ罷免することは出来ません。


 風紀委員の活動は総合成績にプラス評価が付き順位には反映しないものの就職や人物評価などでは有利になるため生徒会役員と並んで割と人気の役職なのです。反面その場で指示を出すため反抗するものがいた場合に備えてある程度の護身術や格闘術が必要になるのでそういったものに自信がない場合には辞退する方もいらっしゃいます。


「そうです。風紀委員は持ち物検査からスカートや髪型。そして不純異性交遊までもチェックを行い注意や勧告、場合によっては学園の上層部である理事会や学園長などにも報告をすることもありますわ。報告次第では停学や退学処分ということも・・・・。」


 そう言うと殿下の顔色がだんだん悪くなってきます。




「こっ、校則のことはもういい。貴様は男爵令嬢ちゃんを待ち伏せし階段から突き落としたであろう!」


 全く記憶にありませしありえないことだと思いますが一応聞いてみましょうか。


「それは何時でどの階段でのことでしょうか?」


「確か10月頃だったはずです。放課後寮に帰ろうと教室を出たあと北側の階段から伯爵令嬢さんに突き落とされたんです!」


「殿下の主張もそれでよろしいですか?」


「もちろんだ!私もその場にいて貴様が走り去るのを目撃しているのだ。言い逃れはできんぞ。」


 まったくもって救いようのないアホどもが・・・。まあ婚約が解消となる事を考えれば私にも利益があるからきっちりと追い込むとしよう。2時間サスペンスのラスト15分だ!


「本当に救いようのないお馬鹿さんたちですね。」


 私がため息をつくと二人が更に言葉を重ねます。


「なんだと!貴様はこの期に及んでしらを切るつもりか!」


「そうですよ。しらばっくれていないで、きちんと認めて謝ってください!」


 まさか気付いていないのかしら?


「男爵令嬢さんは1年I組ですわね。あのクラスは1階です。そこから寮に帰るのに階段は使いません。使わない階段の何処で突き落とされるとおっしゃるんですか?」


「「え?」」


 二人して間抜け面を晒した後脂汗をダラダラ流しています。


「ちなみに私のA組も1階ですし、なんなら風紀委員の準備室は別棟の1階です。お互い2階に行く用事はめったに無いのに、放課後教室を出て寮に戻る間に階段で待ち伏せされて突き落とされたとおっしゃるわけですか?不思議なこともあるものですわね。」


「たったしかあの日は2階の職員室に用事があって、その帰りに・・・。」


 その場で思いついたような発言ですわね。


「職員室になんの用事があったのかは知りませんが、2階にあるのは用務員室です。職員室は別棟の1階です。それと殿下が職員室や用務員室に行くことはありません。普段から呼び出していますから。一緒に何処で見たのですか?」


 そう言うと流石に諦めたようです。


「くっ。計画にそんな落とし穴があったとは。俺様一生の不覚!」


「ちなみに落とし穴もありませんからね。寮までの間は石畳ですし、施工業者に謝ってください。」


 空いているのは王太子と男爵令嬢の節穴だけですわよ。何処かの軍師みたいなセリフを吐かないでほしいですわ。サイレンの音が聞こえてくるようだわ。




「これで色々とはっきりしましたね。これ以上行事を中断するわけにも行きませんわ。では学園長。宜しくおねがいします。」


 私はそう言って学園長に場を譲ります。すでにこれまでの生活態度は学園長にも報告済みです。今日のことで決定打になったでしょうね。それに卒業生も在校生も来賓や教師もさぞ迷惑だったことでしょう。


「卒業式の妨害、冤罪、そして学園内の不純異性交遊により男爵令嬢さんは退学、殿下は流石に退学させられませんから停学3ヶ月とします。殿下におかれましては、2ヶ月後の生徒会長選挙にも立候補できなくなりますからそのつもりで。では卒業生起立。退場!」


 こうして卒業生たちは退場し、殿下たちは警備のものに連れられて会場と貴族社会から退場していきます。


「まて!俺は第1王子だ!これはなにかの間違いだ!俺はただ優しさと柔らかさに包まれていたかっただけなんだ!」


 胸か!やっぱり胸だったか!


 不祥事を起こして停学3ヶ月の時点でマイナス評価が山程つくわけで生徒会長になる目も消えれば汚名返上の機会もなくなります。私との政略結婚の予定も解消となればおそらく卒業とともに廃嫡、王家の血筋とは認められず家系図からも排除される勘当になるでしょうね。親の情けで男爵位くらいはもらえるかも知れませんが・・・。


「そうよ。何かの間違いよ。ヒロインの私がなんで退学なのよ。これじゃゲームが始まらないじゃない。」


 男爵令嬢さんも諦めが悪いですわね。ゲームとはなんのことだったのでしょうね?王国では学園を卒業できないと貴族またはその係累としての扱いは受けられないことになっています。当主にも当主夫人にもなれません。彼女は平民として生きるか良くて貴族の妾でしょうね。


「おい!貴様!婚約者なら俺を助けろ!貴様は頭だけは良いのだから家庭教師するなり俺の未来()を取り戻せ!」


「婚約破棄を言い渡された私に何をおっしゃるかと思えば、そんな未来になったら(そら)滅び(落ちてき)ますわ。わたしはどうやら悪役令嬢らしいですからね。悪役らしくヒーローとヒロインは仲良く叩き潰さないといけませんわ。それにもう殿下とは完全に他人ですから貴様と言われる筋合いはありませんわ。」


 そう言って他の出口から教室に帰るために私も踵を返します。


「性格悪いぞ!この悪役令嬢め!」


「そうよ!そうよ!吊り目!性悪!変態!」


 二人ともこれで最後と思ったのか言いたい放題ですわね。


「聞こえませんわ。誰にものを言っているのかしら?私の名前を言ってみなさいな!」


「そっ、そのセリフは!?まさか72cm(ななつ)の胸を持つ(千早)王妃(貧乳)神拳伝承者、伯爵令嬢!」


「はっ。そうか、私に絡んできたのも(ちち)コンプレックスだったのに違いないわ!」


 こいつら絶対に言ってはならないことを。私だって好きで貧乳やっているんじゃないのよ。王妃教育で鍛え(筋トレ)させられた結果じゃない。要するに第一王子の婚約者にさせられたせいじゃないの!


「誰がまな板じゃ、ぼけぇえええええ!!!!」




 ドガッ!バギッ!ドスドスドスドス!グシャッ!


 テレッテーテレテテレテテレテレテー♪


 どうやら最後に殺陣が残っていたようです。ドラマの時間配分を間違えましたか?





 こうして国王の処分を待つことなく二人はお星さま(病院送り)になりました。その後第一王子には私と王妃殿下に対するセクハラの罪が追加され、停学処分が一ヶ月延長されました。持つべき物は権力と武力ですわね。


 そして私は婚約破棄に伴い王家から多大な慰謝料をいただきました。学園の勉強に加えて王妃教育(ブートキャンプ)まで受けてきましたから当然ですわ。過酷なトレーニングで失ったものが大きすぎますからね。まあ大きすぎるというものはなれなかったわけですが(泣)。


 ないものねだりをしても仕方ないので次の目標に向けてがんばります。とりあえず進級したらすぐに生徒会長選ですからね。学園支配に向けて私も頑張りたいと思います。慰謝料()生徒会人脈(コネ)があれば次の婚約者もきっとすぐに見つかることでしょう。



 それでは皆様また何処かでお会いすることがございましたらよろしくお願いいたしますわね。

※王妃教育 過酷な訓練のため女(人)として大事な膨らみを失う。このため王子に見初められることは絶壁になることと同義のためこの国の王族はそれを知る伯爵家以上の家格の貴族の淑女に人気がない。


※王妃神拳 王妃教育とともに伝授される、護身術をベースにした格闘術。貞操って大事よね。過酷な訓練のため体脂肪率が極度に減少する。別に一子相伝ではない。というか伝承者は仲間(犠牲者)を増やそうと日々活動している。一部の男性に伝承者マニアがいるらしい。


オーソドックスな婚約破棄物+風紀委員という感じで書き始めたのですがいまいち面白くないので結局コメディ要素を追加していつもの感じに^^;


千早羅漢撃!!!!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 72㎝……くっ。 何処かで聞いた数字だ。
[良い点] 途中までは面白かったです。 [気になる点] 終盤の72cmを持つ女でちょっと不愉快。 千早と関係ないところでキャラdisとも捉えられかねない表現はマイナス。
[一言] 素晴らしい作品ですね! ☆5個つけさせて頂きました。 これからも頑張って下さい! 応援してます。
2021/11/12 23:22 退会済み
管理
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