第5話
『起きよ…起きよ童。』
「……あ、うぅ…おおかみ?」
凄い…なんかふわふわした毛並みが心地よくて…
『ふむ。大丈夫そうだな。私はもう行く。レッサーウルフ共には元から人間には手を出すなと言ってはいたが、あの時のこともある。私からもう一度言っておこう。
……ここに童でも食べれる木の実も置いていく。この木の実はこの近くでも取れるものばかりだ。生き抜く術にするが良い。』
「木の実?…あ、ふわふわ…。」
行っちゃうの?
『まだまだ子供だな。あぁ、それじゃあな。もう会うことが無い事を祈ろう。』
次の瞬間、そよ風がルイスの頬を優しく揺らし、その間には、既に白い狼は消えていた。
「………んぅむにゃむにゃ。…おおかみさん、おおかみさん…おおかみ…………………おおかみ!!?た、食べないでぇ!!」
チラッ?
チラッ…。
………………ってあれ?
辺りを見渡す。確か、僕は川で気を失ったはずだ。
実際目が覚めたのも川で、周りの生き物の気配は特にない。
「夢…か?いや、それにしても夢には思えないような。……(グウゥゥ)はぁ…お腹空いたなぁ。あ、ここに木の実があるんだった!(アムっ!)……お、おお、美味しい…!いや、美味しすぎるって!」
今まで食べてなかったおかげか、一気にお腹が食べ物を欲しがって、沢山置いてあった木の実を一気に平らげていく。
「美味しい!美味しいよぉ!狼さんありがとう!
…?………あり、ありが?」
全身が冷たくなっていくのを感じる。だけど、下が一瞬だけ温かくなるのも感じる。
「あ、あぁ、あああれは、夢じゃ…ない。」
現に今、僕は誰が取ってきたかも分からない木の実を美味しく食べて、あんなに死にそうだったのに下からしっかり出るくらい水も飲んでる。
「つまり、これは……(ガクッ)」
ルイスが気絶から立ち直ったのはこれから約一時間後。
そして、その日からは目まぐるしく一日一日が過ぎていった。
毎日必ずルイスは魔術を使用し、そして精度も着実に磨いた。
だから、他の毒属性魔術に手を出そうかと何度も思ったルイスだが、何か嫌な予感がしてその先のページを開くことはこの期間無かった。
ただ、【拘束睡眠】の魔術の暴発は1ヶ月をすると自然としなくなり、それからは、その強力さを活かして、一人で狩りを始めるようになった。
最初の頃は兎を狙い、狩りを始め、やがてその皮が沢山集まると、森に落ちてある蔓で丸一日かけて繋ぎ、長い間着ていなかった下半身の服を作った。
そんなルイスに遂にある季節がやってくる。
11歳になる丁度瀬戸際、ルイスは眠れない夜を過ごした。
雪だ。
兆候が見られたのは、やはり夜の肌寒さだった。
何とかそれを見越していたルイスは、兎の皮を繋ぎ合わせた毛布のようなものを、身体全体に羽織ったことで、その日は何とか越すことが出来た。
ただ、それでも足りない!と、次の日、ある動物を探しに行くのだった。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
もし良ければ、下にある評価を、☆☆☆☆☆
↓↓↓
★★★★★
にしていだければありがたいです!!
感想や誤字の発見などもご報告よろしくお願いします!