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嫌われ者の毒属性魔術師  作者: kashizaki
2/10

第1話

第1話というより過去回想のようなものです。

プロローグを見てない方は、そちらからどうぞ〜

ルイス。僕はルイスだ。

僕が産まれたのは一体いつか。


少なくとも、父や母に産まれたことを喜ばれたりしたことはないと思う。


それどころか、まるで僕を腫れ物のように扱う雰囲気は、何も知らない僕にとってはとても嫌なものだった。


家から出ることや、ましてや与えられた部屋から自由に出入りすることすら叶わず、いつもベッドに寝たきりばかりだった僕は、十歳の時、ほとんど顔を合わせない父と、いつも、魔術?というものを勉強するな。触れるな。と言っていた母が、魔物の毒で病気になり、亡くなったという知らせを聞いてから、初めて外に出た。


僕を外に出してくれたのは村長だった。

村長は、村一番の魔術師らしく、僕を一瞬悲しそうな目で見た後は、母が言っていた魔術を僕に教えてくれた。


だけど、そこでも村長には相変わらず言われた。


「魔術を使うな。これはお前自身の為だ。お前に自身の危険性を教えるためのな。」


だからか、村長の家の養子となり、新たな家に住んでからは、窓の外で魔術を実践している同年代の子供を見ると、無性に羨ましくなった。


「村長!僕の得意な属性魔術を教えて下さい!僕もあの子たちみたいに魔術を使ってみたいんです!」


僕は素直で良い子だったと思う。10年間、父と母に部屋から出るなと言われた日も、食事を充分に与えられなかった日も、僅かに与えられた本を読んでそれに興味を持った日も、絶対に言う事に従った。


だけど、そんな僕でも魔術というものは、まるで目の前にたくさんの美味しそうな料理を置かれた時のような衝撃を与えた。


だからこそ、初めて僕は村長に我儘を言った。




そしてそれが、村長との最後の会話だった。




「そんな!?村長!バルブさん!!僕が何をしたって言うんですか!?離してください!!」


冷たい瞳で僕を見つめる男。僕は今日この日、森に捨てられたんだ。


「お前に魔術を教えたことが間違いだった。お前の父母が生きてた時は、お前が可哀想に見えて、育て方をよく説いたものだが…ああ。俺が間違いだったよ。」


「…ッ!どうして…!僕はただ、魔術を…!」


バサリッ。と、暗い森の中、僕の目の前に一冊の分厚い本が落とされる。ーーー魔術書だ。ーーー


「それは、お前の適正魔術の魔術書だ。そこにお前がなんでこんな事になっているか。なんでお前の父母がそうしたか。全ての疑問が詰まっている。まぁ朝になったら読んでみるが良い。朝まで()()()()()()()()。」


「い…生き残る…?」


僕には何を言ってるか分からなかった。


そもそも、村長の家に住んでからも、僕は外にほとんど出ることは無かった。だからこそ、夜中に連れてこられたこの場所も、僕は何も知らなかった。


そう、ここが決して子供や老人が立ち寄ってはいけない森であるという村での常識すら、僕には存在しなかった。


「ここはルーブスの森。狼賢王ルーブスという森の主が統べる弱肉強食の魔物の世界だ。死とは常に隣り合わせ。そして、お前の父母がその魔物たちに手負いし、逃げ帰り、だがその毒で、僅か数時間、村で息を引き取った場所でもある。」


「父さんと母さんが…う、嘘だ…!バルブさん、嘘ですよね!?僕は魔物のことも知らない。隣の家に住んでいるチークスや村長の娘のマイリンにも負けるような弱い僕がそんなところに居たら…」


「死ぬな。確実に。だが良いだろうルイス。お前の死に場所にはお似合いだ。」


今まで経験したことが無い殺意の瞳。


僕は下の方が温かくなるのを感じた。そして、急な緊張と吐き気。更に生命の危機。それらが一気に込み上げてくる。


「うぇ…汚ぇ。まぁ、骨は拾ってやる。そもそもここには一週間毎に、魔物の間引きをしに来るからな。」


そうして、村長は僕に背を向けた。


「まぁ、その時まで生きてたんだったら………俺が殺してやる。」


「!!?」



止まらないと分かっていた。僕には誰も構わないし、誰も救ってくれないと。


それでも、とにかく僕は正気ではいられなかった。



「い゛かないでぇー!!僕はまだ、死にたくない゛ぃ゛!!!」


必死に上げた声をまるで気にせず、村長の陰は闇の中へ消えていった。

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