拾肆話目
拾肆話目~七大罪の悪魔〔13〕~
「だって…やっと二人っきりなんですもの‼」
目をキラキラと輝かせた聖が俺に腕を絡ませてくる。
「どうして俺に拘るんだ?」
「だって能登さんがこの世で最高の異性だからですよ」
~神埼聖~
俺の彼女を見て過ごしてきた感想は〔献身的な女性〕………但し献身度が高くヤンデレ度がクソ高い……ギャルゲーだったら可愛くても攻略したくないキャラな訳だが……
「いやいや、俺以外にも居るだろ優とかルノーとかがさ」
「いいえ、能登さんが一番です。例え能登さんが色々な女性に手を出してハーレムを作ろうとしてたって私の事も愛してくれるのなら私は気にしませんよ?」
自分の事も愛してくれるのなら都合の良い女でも良いと自分で言う聖に対して背中に冷たいものが垂れてくる。
「聖は部屋を探しに行かないのか?」
「私は大丈夫です。だって……能登さんと一緒に……一緒に暮らせますから」
「………そうか」
「なので、今日からまた私を可愛がって下さいね」
聖の妖しくも美しい雰囲気と言葉で背筋が凍る様に冷たいのに汗が止まらない。
「其に……あの子との約束がありますし……」
あの子との約束……聖の一言で俺の心を深く鎖で縛り上げる様な感覚が襲う。
その時、目の前がブラックアウトした。
「能登さん!?」
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「ごめんね………私のせいで……」
燃え盛る街で俺の腕の中で横たわる血塗れの少女。
涙を溢しその少女は口から血を流しながらも精一杯言葉を紡ぐ。
「違う……ジャ…ヌ……俺の……俺のせいで……」
俺は涙で目の前が歪みながらも精一杯少女に声を掛ける。
「ノトは約束守って……くれているのに……ごめんね……約束……守れなくて」
その一言を聴いた瞬間目の前がブラックアウトした。
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「能登さん‼」
「ん?」
「良かった‼」
聖が俺に勢い良く抱き付いてくる。
「どうした?聖」
「ハ~~能登さんが急に倒れて二・三分経ったんですよ……」
聖が安堵の溜め息を溢す。
さっき見た過去の映像………其を思い出す度に胸が苦しくなる。
「大丈夫です。また、あの時の事を思い出したんですね……大丈夫ですよ……私は居なくなったり……離れませんから……ずっと……」
聖の体が俺を優しく包み込み頭を撫でてくる。
「今日はこの後、部屋で待っているから……」
「はい楽しみに待ってますね」
聖はそう言うと俺から離れて
「少しの間寝ててください……」
聖は自らの膝をポンポンと叩いて俺の頭を置いた。
「いや、大丈夫だが」
「少しの間目を閉じているだけでも違いますから」
聖の優しさに俺は少しの間目を閉じて眠るのだった。