第4章 出会いは突然に
疲れてきました。まだ続きます
慎之助は例のホテル、報酬受取所にたどり着いた。報酬のコインや女神を多数保管する為に豪華ででかい仕様になっているらしい。たかがそういう風に設定されているはずなだけなのに、無駄に緻密に設計されている様だ。
「お疲れ様でした。二日連続ログインとギルドバトルへの参加ミッションの報酬受け取りでお間違い無いですか」
「はい」
前回と受付嬢が違う気がする。やっぱりこの細かさは何かが引っかかる気がしてならない。Oケモンだってジムリーダーと主要キャラ以外は同じ顔だもん。
「ご機嫌よう、私が空也だ。よろしく頼む」
分かってはいたが、やはりキャラクターは全員女性の見た目をしてる。慎之助が知ってるのは口からお経の具現化を出すおっさんの像の記憶だけである。むさいおっさんも美少女化される風潮は昔のフェOトの織田信長を思い出す。第六天魔王があんなことになるとは。
コイン1000枚と強化石を10個も貰ったが現状使い道は分からない。とりあえず帰ろうかな。
「あ、マスター君だ」
後ろから肩を叩かれる。そう言えば昨日やらかしたからな。
「君、始めたばっかでしょ。名前は何ていうの」
結構グイグイくるなこの人。恥ずかしいから早く帰りたいのだが
「あ、ごめん。僕の名前は柚木姫って言うんだ。一応『一期一会』ってギルドのメンバーなんだけど」
「まじかよ」
「本物か?」
慎之助が黙っていると周囲の人がざわめいた。くそ、どうせ注目されるならこっちの方面で注目されたかった。
「甲蟲っていいます」
「どんな字?」
なぜこの人はこんなに自分のことを根掘り葉掘り聞いてくるのだろうか。謎である。慎之助が困っているのを見かねてか説明をしてくれた。人探しをしていると。なら何で自分なんだろうか。
「昔ね、俺たちのギルドに兜姫って言うHNの人がいたんだ」
「でもその子は姿を消してしまった」
「で、昨日ここにきた君がカブトと呼ばれたのを聞いてね」
「そうなんですか」
尚更意味が分からない。人探しなら長年やっている人の方が詳しいはずだ。名前が似てるからと言う理由で自分に声をかけるか?。慎之助は怪訝な表情を隠すことはできなかった。
「兜姫はね、イベントで1位を取ったこともある強キャラなんだよ。彼を恐れて名前にカブトと入れている人はここ最近見なくてね」
「いや、違うな。又彼に会いたくなってしまっただけかもな。不意によく聞いた名前を耳にして。懐かしくなったからかな」
すまない。そう言うと柚木姫は立ち去っていった。その後ろ姿の哀愁漂う姿から彼が嘘をついているとは思えなかった。
...........
ギルドハウスに戻るとバカが2体いた。
「今日からこのギルドにお世話になることになった『Star=dust』と申すものだ。宜しく頼む」
なぜかさっき戦ったギルドの人がいた。キャラもなんか違ってるし。
「この人な実は初期勢なんだぜ」
嬉しそうに語る翔太郎。だからお前がいばれることじゃ無い。
どうやらこのstarなんちゃらさんは旅人らしい。あっちこっちのギルドに参加しては脱退してを繰り返しているらしい。交友関係が広くある程度強く無いとできない楽しみ方の様だ。
「なぜこのギルドに入ろうと?」
「ちょっと落ち着きたかったからかな。後輩育成も初期勢の大切な仕事だからな」
良いゲームは初心者を狩るのでは無く、成長を促してくれる人が多いと言う。この人の気まぐれが続くまで助けて貰えば良いかなという結論が出た所で今日はお開きとなった。
明日は来れるかどうか分からないと翔太郎に伝え慎之助はログアウトする。
..........
(戻れるわけないじゃ無いか。あんな事実を知ってしまったら)
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「これは佐伯長官。ようこそお越しくださいました」
とあるビルの上層階で2人の男が話し合いをしていた。
「いやいや西田社長。調子はどうですかな」
「ええ。計画は最終段階まで進んでいます」
「この技術を応用すれば......歴史は変わりますな」
「そのための遊びですから」
「早急に残り1体を解放せねば」
「すみません。実は1人懐柔に失敗してしまいまして」
「何だと。大丈夫なのか?」
「ええ。最近ログインしてない様なので気付いてないだけかと。データが消去され中に浮けば私達が回収できますので。」
「それなら問題ないか。頼もしいな社長。だがミスは許されない。私もホイホイここに来れる身分では無いのでな。早急に頼む」
「分かっています」
2人の笑い声は静かに夜空に消えていった。
お疲れ様でした