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第3章 初体験には良い思い出が出来なかった様です

何と無くで書いています。中盤ストーリーにどう繋げるか未定です。

「さて、出かけるぞ」


30分ほどこのゲームの説明を受けた後、翔太郎が声を掛けてきた。


「何処へ」

「闘技場。ここから南西に進んだところにあるA1ブロックに」

「はーん」


 このゲームには1日4回ギルド間でのバトルがある。ルールは単純で選んだ9体の女神を使役し戦うという。

女神にはそれぞれ光、闇、炎、水、草タイプが存在し、相関関係はOケモンと同様だ。単色で一発逆転を狙ったり、混色で弱点補強、属性無視の総合力という風に様々な戦術がある。


「説明どーも」


慎之助は翔太郎のお気に入りのキャラ自慢の中に散りばめられていた重要そうな点だけをピックアップした。もっとも自分にはまだルメア一体なのでパーティーもクソもない。


「気にするなどうせA1ギルドとの対決だ。強いやつはそうは居ない筈だ」


 ホレと提示された戦績表には今日の戦績が記されていた。1勝2引き分け。あながち嘘では無いようだが。慎之助は別の感想を口にする。


「なあ」

「言った通りだろ、A1ギルド相手なら俺一人でも通用するって」

「そこじゃ無い」

「へ?」

「何で」

「ん?」

「何で19時のギルド戦に勝利がついてるんだい?」

「あ」


こいつ油断してやがったな。19時はまだ部活中のはずだ。なぜ奴が参加できたのか。


「てめぇ、トイレって嘘ついて出ってた時やったな」

ソッポムキ-

「主将がサボってゲームとは良い御身分だな、おい」

「サーセン」


 よし、アホをゆするネタが出来た。今度功も誘って焼肉パーティー開くか。翔太郎の金で。

あたふたと弁明する翔太郎を無視し、慎之助は歩き出す。リーグもあるのにこんな調子で大丈夫かしら。


..........


「ここが闘技場です。はい」


翔太郎は先程と打って変わり真面目な説明をする。闘技場の見た目はまさにコロッセオといったところか。


「レンジャースのメンバーの方ですか」

「はい」


 受付のお姉さんに声を掛けられる。受付嬢の顔は今まで見たことが無いものだった。受付嬢の顔すら固定しない程の細かさに戦慄するが、それよりも


「レンジャースて何だよそのギルド名」

「え?スーパー戦隊からとった。緊急戦隊レンジャース。お前も好きだろ」

「大概にせえよお前」


アニオタの中には特撮好きが案外多いと思いませんか?


戦闘開始までおよそ5分と言ったところだろうか、中に案内される。相手は『インフェルノゲート』というギルドらしい。メンバーは多分翔太郎みたいな奴ばかりだろうと慎之助は邪推する。


「よし、相手は一人らしいし俺が戦うから甲蟲は見ていてくれ」


慎之助が失礼な事を考えているとは露知らず、翔太郎は楽しそうだ。HNやっぱ変えようかな。呼びにくいし、自分で反応も遅れるし。


「ちなみにHNは変えられないよ」


キモいよその第六感とかいうやつか知らんが。


ブザーが鳴り、戦闘が開始したようだ。相手は...


ーー行きますぞ私のマイエンゼル達 チーム炎 具現化せよーー


翔太郎よりも酷いオタク臭がした。流石にあんな奴と一緒にするのは...


ーー爾、我が命を聞け 全ての楔を解き放ち 今 具現化せよーー


自分でも何だとは思うがフラグ回収は速やかに終了した。慎之助はふうとため息をつく。


ーー具現化せよ ルメアーー


「ルメア参上しました。マスター?どうなさいました」

「いや、何でも無い。少し疲れただけだよ」


ヤベェ、呼び名設定切るの忘れてた。


..........


 戦闘はほぼ互角には見える。翔太郎は光を軸とした闇との混合で隙がないチームを、相手は炎単属性の攻撃チームだが、レアリティがどれも高い。1体を除き全てURで構成されていた。単属性でURを8体集めるのはそう簡単な事ではない。課金者だな。慎之助は翔太郎の説明を思い出し、そう結論付けた。

 

 翔太郎曰く、このゲームガチャの排出が異様に悪いという。URクラス以上は最初の任務報酬と自称約5%の確率でしか出ないらしい。彼のお供の美少女「ヘレン=ケラー」はLR。彼は先月破産宣告をしてきたが今なら理由は何と無く見える。

 翔太郎の親、いや相川家は代々株式会社AIKAWAを経営している。キャッチーなCMを多数打ち出す有名なお菓子のメーカーである。その息子を一時的にとは言え破産に追い込むとは。


「先月一体いくら注ぎ込んだ?あのバカは」


慎之助は考えるのをやめた。


「アレクサンドロス、時元攻撃を打つからいったん引け」

「メアたん、必殺ボルケーノ・ファイアですぞ」


考えても分からなかったです。はい。


..........


「勝利ー」


 時刻は23時30分を指したところでまたブザーが鳴った。戦闘終了のようだ。翔太郎のセリフから自分たちが勝ったことが伺えた。


「悔しいですぞ」

「いや、貴殿も素晴らしい統率でした」

「あなたのエースのヘレン=ケラー殿は素晴らしいものですなー」

「分かるか同志よ」


共鳴するバカを無視し、慎之助は闘技場を後にした。迫力あるバトルを生で見れた事で若干高揚していた。


 ピーンとメールボックスが鳴る。見ると初心者ミッションを2つクリアしたらしい。報酬は女神とコインの様だ。昨日恥をかいたホテルみたいなとこに又行く必要があるらしい。苦笑いしながら慎之助は歩みを進めた。


「「友よー」」


後方でふと聞こえた雄叫びの様な声は友人のものでは無いと信じたかった。

お疲れ様でした

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