【海の子】の特技
「くそっ、こんなことがあってたまるか……」
ザイルは先程メシアに度肝を抜かれた事を悔しそうに歯噛みしながら自室へ戻りイライラをぶつけていた。
【天の子】、魔術師として優秀なザイルにとってメシアの様なイレギュラーな存在は許せないものだった。それもそのはず、【海の子】とは淘汰されるべき存在だからだ。
ザイルの異常なまでの【海の子】差別主義は人より頭抜きん出ているが何もザイルが特別という訳でもない。
【天の子】には魔法こそが世界の真理であり、神より授かった神秘であると教えられる。この歪んだ思想が【海の子】と差を生んでしまった根幹である。
「メシア・アストルめ……許さんぞ…」
最早お門違いも甚だしいのだがザイルの敵意はメシアへ完全に向いてしまったのである。
「せんせ?難しい顔してるの…」
ピンク色の髪をボブカットに切りそろえ、雪の髪飾りを可愛くあしらっている小さな女の子であるユウナが中庭のベンチで悩んでいる俺の顔を覗き込んできた。
「ごめんごめん、大丈夫だよ。それよりどうかした?」
俺は笑顔を作ってユウナに向き直る。子供にまで心配させる必要は無いからな。あくまで俺の、教師としての問題だ。
「あのね、昨日みたいな事がまた起こるって思ったら怖いの……だから、どうにかできないかなって…思うの」
「ユウナ……」
ユウナも昨日のザイル先生率いる【天の子】による虐めの被害者に当たる。心の優しいユウナの事だ自分のことよりまた【海の子】が虐められないか恐れて何か出来ることが無いか悩んでくれていたのだろう。
俺の悩みもぶっちゃけるとこの問題に酷似している。つまり、【海の子】の強みである特技を生かして闘う力を身につけて貰うことだ。
だが、それを簡単に了承できないのも事実である。なぜなら、感情に左右されやすい子供なのだ、そんな子供達が力を得たら何をするか…そんなの目に見えている。
もし、そんな事をしてしまえばこの子達に益々怪我をさせてしまう事になるからな……本当に困った。
「せんせ……ユウナの特技はあんまり役にたたないかもしれないの。でも、ユウナもみんなを守れる力が欲しいの!もう友達が傷つくところを見たくないの!」
「ユウナ……分かった。先生に任しとけ!みんなで自分の身を守れるように特訓しようか」
「はいなの!」
泣きそうになりながら、しかし目にはしっかりとした強い光を灯しているユウナの目を見て俺は決心した。この子達なら道を踏み外さないだろうと。
俺はユウナの頭を優しく撫で、立ち上がった。そうと決まれば行く先は一つ……学院長の部屋だ。
この学院でも一二を争う重厚感を放つドアの前に立った俺は息を飲んでいた。
昔からここに入るのは慣れない物だ。
コンコンとノックすると中から凛とした声で返事があったので俺はその扉を開き、中に入った。
「失礼します。学院長」
中にいるのはこのロマニア学院の学院長であるグライヤ・シェルマイスだ。
キリッとつり上がった妖艶な瞳にブロンズの艶のある髪の毛。加えて抜群のプロポーションを持っているため年齢は40近い筈なのにその美貌は20代を思わせる。
彼女を語るにはまずその恐るべき経歴に触れなければならない。
彼女は幼い頃から魔法、武術、知識を多岐に渡って学び、なんと15歳という異例の速さでシトラス王国最高機密機関である王家直属の魔導騎士団に入団。それだけに留まらず24歳の時には王国最強と謳われる魔導七神の称号を得たのだ。それは事実上、シトラス最強の数人に君臨した事になる、
彼女の何がそこまで評価されたのか……それは言わずもがな圧倒的にまで極められたその強さにあった。彼女の戦法はその類稀なる魔法の才能と洗練された数々の武術混合だ。生涯を魔法の修行で終える【天の子】としては異例の武術を交えた戦法は当時の軍の常識を根底から覆した。
現在の数ある学院で武術の授業が取り入れられたのは少なくともグライヤが関係しているのは明白だ。
そんな彼女に付けられた異名は『創造神』。
神とまで崇められたその名には決して逆らってはいけないという畏怖も篭っているのだろう。
「おぉ、誰かと思えばシア坊じゃないか。どうかしたか?久しぶりに私に甘えに来たのか?ん?」
そんなに久しぶりに会うわけでも無いのにグライヤは驚いたように手を広げ暖かく歓迎してくれる。この人のノリは俺やサラにとっては日常であり、且つ無くてはならないものだ。
「ち、ちがうわ!それより、ちょっとお願いがあって来たんだよ」
俺の顔を見たグライヤは俺が真面目な話をしに来た事を察したらしく、真剣なおもむきで俺の話を聞いてくれる。
「【海の子】達に特技の使い方を教えてあげたいんだ」
「……ほぅ?これはまた突拍子な提案だね。なんだ?何かあったのか?」
今のやり取りだけで宜しくない出来事があった事を勘づくあたりやはりグライヤは恐ろしい。
「いや…まぁ、あるっちゃあるんだが……」
「…………まぁいい。大体察した。あらかた虐めでもあったんだろ?全く……」
「ああ、それで…あいつらにも身を守る術を教えてやりたいんだ」
俺がそこまで言うとグライヤはいつに無く真剣な眼差しで俺の目を、いや心を見るように目を向けてきた。
「それで、お前には責任は持てるのか?」
「責任?」
あまりにドスの効いた声で聞いてくるので思わず聞き返してしまった……
「生徒が力を持つ責任の事だ。お前も【海の子】なら分かるだろ!」
思わずビクッと震えてしまった体をなんとかねじ伏せながら『創造神』の威圧を耐える。……これは人が寄り付きませんわ。
「大丈夫……だと思う。皆…優しい子だから……」
俺が何とか絞り出して答えるとグライヤはフッと笑を零し、スタスタと俺の方へと近づいてきた。
そして、昔のように……泣いていた子をあやす様な優しい手つきで俺を抱きしめた。
「グライヤ……?」
「すまない。お前は私の子だものな……何も心配要らないか。うん、分かった…特技の訓練を認めてやろう」
「本当か!?」
俺が思わず喜びの声を上げるとグライヤは腕の力を緩め俺の顔を真っ直ぐに見てきた。その顔は先のような威圧するものでは無く、いつもの優しいグライヤの笑顔だった。
「それよりぃ?サラが言ってたぞ?『兄さんが全然帰ってこないー』って。私も寂しいんだ昔のように屋敷に住めば良かろ?」
イタズラをする子供のような顔で俺を弄りに来たグライヤを俺は跳ね除けて数歩後に下がる。昔は良かったんだが…今となって少し苦手な部類の行為だ……
「だ、だから週末は帰ってるだろ!?それに妙齢の女が二人もいたら居づらいんだよ!」
「ほほぅ?お前は母親だけでなく妹にまで欲情していると。サラが聞いたら何と思うだろうなぁ。んん?」
「そんなの抱くわけ無いだろぉ!?家族に欲情したらそれこそ首吊り物だわ!」
からかってくるグライヤに焦り半分で反論しているとグライヤは何か懐かしむ様な表情で虚空を見つめている。
「家族……か。昔はお前もサラも私の事を家族って認めてくれなかったよな。」
「それは……でも、今は俺もサラもグライヤには感謝してるんだ。俺達にとってはグライヤこそが母親だから」
「ふふっ、そう言ってくれるだけでも育てたかいがあったってもんだ。」
笑顔を漏らすグライヤからは俺やサラを愛してくれている優しさが伝わってきた。…今度何か二人で恩返しでもしないといけないな、考えとくか。
グライヤの元を後にした俺は早速【海の子】のクラスへ足を向け、受理してもらった『特技』の特訓を行う授業を早速開始する事にした。
教室に着いた俺は早速生徒達を全員裏庭へと集合させ、特技の授業を開始した。
「この時間からは特技の特訓を行う」
俺が宣言すると皆十人十色な反応をしている。驚く者、戸惑う者、ワクワクする者…そして、案の定カイルが噛み付いてきた。
「特技って俺ら一人一人ちがうじゃんか」
「そうだ。だから、一人一人じっくりと教えていく。…だがその前に一つだけ守って欲しい約束がある」
「約束?」
俺が急に真面目な態度を取った為生徒達は唾を飲む。
俺もこの子達を信じないとな。生徒を信じなくて何が教師だ。
「決して力を【天の子】に対する復讐に使わないで欲しい」
「でも、昨日先生が反乱に使えるって言ってたじゃん」
その通りだカイル。何も間違っちゃいない。間違ってないんだが、それは悪意しか産まないんだ。
「確かに俺は昨日そう言った。だがな?もし復讐紛いな事が成功したとしよう。そうしたらどうなる?」
「また復讐されちゃいます」
比較的大人しい小動物の様な生徒ミーヤが答える。
俺はミーヤに頷くと言葉を付け足す。
「そんな事を永遠に続けても何も生まない。生むのは敵意と無駄な流血だ。俺はお前達に無事に幸せになって欲しい……だから無意味な戦闘は避けて欲しいんだ」
そこまで言うとカイルも流石に黙ってしまう。これで思いが通じてくれるといいんだが……
そんな重い張り詰めた空気を打破したのは13歳の少女ユウナであった。その目には怯え等で溢れてはいるがそれよりも優しさと勇気で満たされていた。
「大丈夫なの。ユウナ達は自分達を…ううん、お互いを助けるために力を使うの!」
ユウナの声に周りの者達はそうだ、そうだ。と同調する。どうやら、しっかり伝わったらしいな……良かった。
「じゃ、まず基礎から叩き込んでいくぞー!」
「「「おー!」」」
そうして【海の子】クラスの特技の特訓は始まったのだ。
一人一人違う特技を伸ばすのはやはりそれなりに時間もかかるがそれは俺の根気次第だろうな。気合い入れていくか!!
特技は基本的に3つに分類する事ができると言われている。『戦闘色』『生活色』『特殊色』であり、戦闘色は言わずもがな戦う事に秀でた特技であり、生活色はそれ以外の生活術に関するものである。鍛冶師や採掘師も生活色に分類され、特段異色なのが特殊色だ。
これは能力自体が人間の常識を超えているのだ。例えば交霊術や錬金術、神精術などがあり、それらは原理どころか何が起こってるかさえ解明されていない。研究しようにも特殊色の特技を有している【海の子】がそもそも捕まらないというのも関係しているのだが。
【海の子】は生まれてから自分の特技については何となく理解している節がある。何を行えばいいか…等の知識が生まれつき備わっているのだ。それだけだと【海の子】の方がチートの様に思えるだろうが、それらを踏みにじる程の力が魔術にはあるのが現状だ。
「まず、戦闘色について説明するか。そうだな…イア、ちょっといいか?」
「はい?別にいいけど」
俺はイアを立たせると練習用の木刀を手渡し俺も構えを取る。
イアも察したらしく同じように構えを取る。
俺とイアの間には決闘前の独特の緊張感が張り詰め、お互い相手の呼吸を読む様にその時を待つ。
「始め!!」
俺が声を張り上げるとイアは重心をスっと落とし、前傾姿勢を保ったまま一瞬で間合いを詰めてきた。
その気迫と技術は並の剣豪なら太刀打ちすら出来ずに敗退するだろう。
首筋に迫ってきた木刀を逆手に持った木刀で難なくいなすとイアのバランスを崩す為にイアの突進の勢いをそのまま返す様に足払いを掛けた。
「きゃあ!?」
不意を突かれたのか綺麗に決まった足払いのお陰でイアは体を後に倒す。
もう少しで地面に背中が着きそうになる。しかし次の瞬間、イアのルビーアイが鋭く輝いたかと思うと木刀を上に放り投げ、両手を地面を着くとバク転の様に回転する。
回転の際に顎を狙って蹴りを入れてくるイアを寸でのところで躱すとそれを読んでいたらしいイアがまるで吸い寄せられる様に彼女の手に舞い戻った木刀を強く握り、神速の突きを繰り出してきた。
「はぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
鬼気迫るイアは俺を殺さんばかりの威圧を放ちながら近づいてくる。イアの瞳には金色の輝きが灯っている。
恐らく普通の人なら木刀であろうと心臓を圧迫されて死に至るだろう。
だが俺は教師である前にあのグライヤに一から武術やらを叩き込まれた戦士だ。
流石に一生徒に殺される様な真似は間違っても起きない…と言うか起こしてはいけないのだ。
軽く重心を右に逸らした俺はイアの剣を脇下に通し、そのままイアの右腕を挟みとり、勢いを利用する形で背負い投げる……
流石にダメージは軽減しないといけないので投げる寸前に逆側に力を掛け、速度を軽減させる。
ドサッという音を立ててイアは地面に倒れるのを確認してから彼女の手を取って立たせる。
俺とイアの戦闘を見ていた生徒達は目を丸くしている。それもその筈だ今の剣戟はあまりに一瞬の出来事に見えた筈だからな。
なぜイアがここまでの強さを発揮できるのか。言わずもがなそれは彼女の特技に関係する。
イア・アスティシア 特技『剣聖』。
イアは剣を握るとかつての【海の子】の大英雄であるアーサー・ペンドラゴンを思わせる剣技を使いこなす事が出来るのだ。
しかし、未だ未熟な為に武術としては普通より少し出来る程度の俺にさえ遅れを取ってしまうのだ。
「特技には練度がものを言うんだ。これからは体力を付けながらそれぞれの特技の練習をしてもらうから。何か分からないことがあったらすぐに聞くように!」
「「「はーい!」」」
元気よく返事をすると子供達は各々の練習に励み出す。
すると、先程俺に負けたイアとその付き添いなのかサラが近づいてきた。
「やっぱせんせー強すぎだよ…なんでいつも勝てないのよぉ」
「だって、先生だもの。ふふっ、でもイアもかっこよかったよ?」
落ち込むイアを慰めているサラ。
この二人は仲がいいだけでなく一緒いるととても映える養子なため、割と人気が高い。サラがモテるのは……うん、何ともないな。
「それで?俺に再戦しに来たのか?」
「違うわよ、先生に剣術習いたくて」
拗ねたような表情で見上げてくるイアだが俺は返答に困る。何故なら剣術だけなら『剣聖』を持っているイアの方が遥かに上なのだ。足りないのは経験だけ、即ち実践を積む以外にイアが強くなる方法は無いのだ。
「んー……手合わせくらいなら出来るんだが、俺がお前に教えられる事は殆ど無いんだよな」
「えー、どういう事よそれ」
困った顔をする俺に口をとんがらせて拗ねるイア。そんなイアをサラが笑顔で適切なフォローを入れてきた。
「だから、先生はきっとこう言いたいんだよ『俺が剣術を教える事はできないが実力を測るための訓練はしてやるから。いつでも頼ってきていいぞ』ってね♪」
「ま、まぁそう言う意味だが……」
何か含んだ様な言い方のサラに視線を移すと片目を瞑り、舌をペロッとだし可愛く微笑んでいた。あぁ……これ、絶対何か企んでるわ。
「なるほどね!そういう事なら早速付き合って貰おうかしらっ!そおぃやぁ!!」
「おぉぉいぃぃ!!ちょっと待て!?」
何か肝心な所で脳筋思考を発揮するイアが嬉々とした表情で斬りかかってくるのを真剣白刃取りでギリギリ押さえつけ、そのまま剣を奪い取って後ろへ投げ捨てる。
そこからは最早乱戦だった。体術もある程度心得ているイアは剣を持たずに取っ組んで来るし、他の『獣王』を持っている16歳のジルや武術とはちょっと違うが『機神』を持つカイルまでもが参加し、殴り合いの応酬が始まった。
「ふふっ、やっぱり、皆兄さんの事が大好き何ですね」
「サラ姉ちゃん何て言ったの?」
小声で呟いたサラの言葉を聞き取れなかったらしい黒髪ツインテールがトレードマークの15歳のユアが横で聞き返すが。
「ふふっ、な、い、しょ♪」
「?」
サラは笑顔ではぐらかす為、ユアは小首を傾げているのだった。
【海の子】クラスは静かな時がないくらいに騒がしいクラスかもしれない。だがお互いの絆は他の何処よりも深く、強い物なのだ。
「いたた……あいつら本気で殴りやがって……」
俺は未だに痛む体の節々を抑えながらいつもの様に中庭のベンチで買ってきたポリンサワーと言うサッパリとしたジュースを飲んでいた。俺はこの時間が一番好きだ。そよ風に吹かれながらゆっくりと時間を謳歌する……二十歳にしてはじじぃ地味てるかもしれんが特に疲れた日などはこの時間が無いと次の日に支障をきたす程だ。
そんなこんなでぼーっとしていると校舎の方から周りをキョロキョロしながら近づいてくる人影を目の端で捉えた。
黒髪のショートカットでそこまで身長の高くないが何処か小ささを感じる。と言うか保護欲を掻き立てる……そんな子だ。
まぁ俺の生徒なんだが。
「どうした?スーが一人で居るなんて珍しいな」
「ひゃうっ、せ、せんせ…ちょっと相談が……」
彼女はスーシー・ミリタリア。【海の子】の15歳だ。普段は同い年のユアやシルヴィと一緒に居るのだが、一人で来るとは珍しい。恐らく人に言い難い相談なのだろう。
「わ、わたひっ。………うぅひたかんだぁ」
普段からおどおどして危なっかしい子ではあったがいきなり舌噛んでるよ…
「ほら、落ち着いて。これ、飲んでいいから」
「うぅ…ありがとうございまひゅ」
俺は飲みかけのポリンサワーを手渡すとカップを両手で持ってコクコクとその喉を鳴らす。
「ふぅ……おいし♪」
小さくそう呟きほんのり笑顔を浮かべるその様は実に子供らしい。
「それで、どうかしたか?」
「はい………あの、わたし特技が…分からないんです」
「んー。全くわからないのか?」
実は【海の子】でも自分の特技が分からないと言うケースは少なくない。
しかも、それは『特殊色』の特技に多く、気づくにも時間がかかるのだ。なんせ、きっかけが無いと発現しないのだから。
「えっと……なんか…小さい妖精?みたいなのが思い浮かぶのですが……それ以外分からなくて」
妖精か……なら『特殊色』で間違いないな。それも更に異能に近い『精霊使い』の特技だろう。
「それさえ分かれば十分だよ。よしっ、これから見に行くか」
「えっ、どこに行くんですかっ!?」
俺は立ち上がるとおどおどとしているスーシーの手を引き森の中へと足を踏み入れた。
「せんせっ、ここって……」
困惑した顔で聞いてくるスーシーに詳しく理由を説明してあげることにした。
「恐らくスーの特技は『精霊使い』と呼ばれる異能に近い特技だ。」
「『精霊使い』……」
「そうだ、そしてそれを発現させるには本物の妖精に会うのが一番だからな」
この森は昔から妖精が住んでいると言う噂があり、実際に見たという人も割と居る。
なんで学院に隣接しているのかは分からないが偶然とはいえこんな場所は活用しない方が勿体無い。
「妖精さん…楽しみです」
転ばないように俺に手を引かれているスーシーは心做しか嬉しそうだ。今まで分からなかった特技が使えるようになるかもしれないんだしな。ワクワクするのも良くわかる。
どれくらい歩いただろうか……一時間位森を彷徨っていると小さな泉へと辿り着いた。
「綺麗……せんせっ、キラキラしてますよ!」
「あぁ、こんな所があるなんてな」
その何とも形容しがたい幻想的な美しさを醸し出す自然のキャンパス。
俺とスーシーはその美しさにしばし心を奪われた。
チャポン………
ふと水の弾ける音がしたため吸い寄せられる様にそちらに目を向けると……思わず目を疑うような光景を目の当たりにした。
「せんせい……あれ……」
スーシーも思わず言葉を飲み込んだ。
俺たちを圧倒する様に姿を見せたのは……
女神の様に美しいオーラを放つ一人の少女だった。
1話に続き2話も読んでいただき誠にありがとうございます。
ついに【海の子】の得意技能である『特技』についてお話する事が出来ました!
作中でも話ましたがどんなにチート能力である『特技』でも『魔術』には決して勝てない点があるのです。
それは、保有できる技の数にあり、いくら剣術が上手くても間合いに入られる前に長距離魔法でうち倒せば何ら問題ないと言った具合に魔術は的確に弱点を突けるのです。
さて、補講もしたことですので今回はこの位で。
ヒロインの立ち位置的にイアなのでしょうが個人的にはサラの方が好きです(笑)
本質的には皆が活躍できるお話を考えてますので是非好きな子を見つけてください!