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魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
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魔性の瞳-96◆「矮小」

■ヴェロンディ連合王国/王都(王家の門)


“こ、小娘が・・・”


 その深い奈落の淵の様な、レムリアの黒い双眸を直接覗き込みそうになって、エルド男爵は慌てて目を逸らした。“魔性の瞳”──ちまたでその恐ろしさを喧伝けんでんされている効果を自分で試してみるほど、さしものエルド男爵も酔狂な考えは持ってはいなかった。


“王の義妹でなければ、誰がこんな乳臭い小娘を望むものか”


 その“小娘”が気迫に、完全に気圧されていることを忌々しく思いながらも、エルド男爵は精一杯の虚勢を張った。


「宜しいでしょう、姫君。兄王陛下の元へ、謹んで御案内致すとしましょう。しかし“不埒なこと”とは──私もなかなか見くびられたものですなぁ」


 王家の血筋で無ければ、誰がこんな貧相な小娘に興味を持とうか──言外にそんな言葉を匂わせながら、エルド男爵は冷笑を浮かべてみせる。

 誰が何と言おうと、自分は王国に並ぶ者がない権勢者なのだ。そんな自分が、何を恐れることがあろうか。それが姫を名乗る小娘だろうが、食いっぱぐれの青臭い素浪人だろうが――

 そう自分に言い聞かせていると、再び自身に名誉と誇りの想いが戻ってくるような感じがした。


「では、そこな剣士。貴公はお役目御免だ。この門を通るのは王族のみ故に、諦めて正門に回るが良い」


 エリアドにそう言い放つと、エルド男爵は慌てて去っていくレムリアの後を追った。

 仕事の都合で、アップが7日中に間に合いませんでした。従い、二話続けてアップ致します。

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