表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
96/192

魔性の瞳-95◆「魔剣」

■ヴェロンディ連合王国/王都(王家の門)


「・・・フッ。」


 私は、氷の如き薄い微笑みを浮かべ、立ち並ぶ兵士たちをじろりと一瞥する。

 すべてを凍てつかせる“極北の永久凍土”の如き、冷やかな視線。

 彼らを完全に無視して、右手を虚空に翳し、“それ”を呼ぶ。


 飾り気のない簡素な灰色の鞘に収められた一振りの太刀。



──“阿修羅”



 私は、手の中に現われた“それ”を、至極無造作に彼女レムリアの腕の中に放る。


「・・・マーガレット・レムリア・オフ・ヴェロンディ。

 そのつるぎを持ってゆくがいい。・・・陛下には、それでわかるはずだ」


 見かけとは裏腹に、言葉にできなかった“万”の想いを、ただ一振りのつるぎに託して。


               ☆  ☆  ☆


 手の中に落ちてきたのは魔剣──この世のことわりの外に在る、と噂される黒の刀。初めて触れるその感触に、レムリアは一瞬背筋に悪寒が走るのを感じた。



──昏い、凍り付くような波動



 鞘によって封印されていても、レムリアの繊細な心には、刀の発する“色”が感じられた。何処までも深く、何処までも暗く──遙かな古代からの想い──


 何かを振り払うかのように二三度首を振ると、レムリアは顔を上げて射るようにエルド男爵を見た。


「それでは、兄の所に行きましょう。但し、予め警告しておきます。我が身に何か不埒なことを行おうとしたら、遠慮なくこの剣を抜かせて貰います。貴方も、この剣が何であるか御存じでしょう? 理解されているのならば、詰まらない考えはお止めになることね」


 氷のような冷たい声で言うと、最後に一度、エリアドに視線を振った。


“貴方の心、確かに預かって参りますわ。そして、兄さまに、はっきりと申し上げます”


 その深い黒い双眸に、精一杯の想いを込めると、毅然と身を翻して王宮目指して馬を進めていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ