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魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
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魔性の瞳-94◆「悪意」

■ヴェロンディ連合王国/王都(王家の門)


「私は“外出をされるのが良くない”と申し上げているのではありませんよ」


 エルド男爵は勿体ぶった口調で言うと、小刻みに躰を震わせるレムリアを上から下まで舐めるように見る。無遠慮も斯くなるものか、という様な不躾な視線である。


「然るべき相手に“断りもなく”外出されるのは、国の重要な立場に在られる方にしては軽慮な行動ではないか、と申し上げているだけですよ。貴女あなたを捜すために、動員された騎士の方々の労苦を考えてもみて頂きたいものですな」


 意識してやっているのだろうか──相手をゆっくりと嬲るような言い方をしている。


「さぁ、“然るべき相手”がわざわざこうして来てあげたのです。大人しく、私と共に王陛下の所に参りましょう。さぁ。」


 その一言と共に、レムリアとエリアドの周囲に、兵士が降って湧いたように現れた。

 エルド男爵が小さく顎をしゃくると、その内の一人があっという間にレムリアの馬を引いて“王家の門”を潜ってしまう。

 間髪を入れずに、門とエリアドの間に兵士の列が出来る。字面通り、蟻一匹入る隙間もない。


「くくく、手間を掛けさせて下さいますね。我が侭も程々に成されないと、この国と王陛下にご迷惑を掛けることになりますよ。それでも、宜しいのですか?」


 目の前に惹かれてきた馬上のレムリアに言うと、エルド男爵は下卑た笑みを浮かべながら皮肉っぽく鼻を鳴らした。

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