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魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
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魔性の瞳-91◆「許嫁」

■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)


「・・・レムリア。・・・今、少しばかり急いでみたところで、問題の根本的な解決には繋がらない」


 私は、今にも駆け出そうとする“風の囁き”(Wind Wisper)の手綱を取り、そう言った。


「・・・“時”を無駄にはできまいが、必要な“時”はかけなくてはならない。ゆえに・・・」


 少しだけ間を取り、彼女レムリアの瞳を正面から見る。


「・・・無礼は承知の上で聞く。・・・もし貴女きみに答えられるものならば、教えてほしい。

 ・・・昨夜、バルコニーで貴女と別れた後、貴女の部屋を訪ねるまでの間に私が見たものが何だったのか。・・・ヴァルガー・オフ・エルドと名乗ったあの男は本物なのか。

 ・・・貴女の姿があの場から消えた後そこに現れ、“黄昏卿”(たそがれきょう)と名乗った人物が事を収め、私に貴女の部屋を教えてくれた。それゆえ、私は貴女の部屋を訪ねることができた。

 ・・・幸いにしてか、不幸にしてか・・・、私は貴女の他にも“夢見”と呼ばれる者を知っているのだ。・・・これらのできごとは、・・・貴女が人々から“夢見姫”と呼ばれていることに関わりがあるのではないか?」


 私はそのように続けた。


               ☆  ☆  ☆


「・・・・・・」


 呼吸をしていないかと思われるような長い沈黙──だが、実際は数瞬にしか過ぎなかった。俯いていた顔をのろのろと上げると、レムリアの小さな顔には何の表情も浮かんでいなかった。


「エルド男爵は、わたくしとの結婚を望んでいるそうです」


 掠れるような、低い声──何の抑揚もない。


「“黄昏卿”という方が何方どなたであるかは知りません。でも・・・」


──でも、誰が“黄昏卿”を名乗ったのかは“知って”いる。黄昏卿――この国は、黄泉への路を辿っているのだろうか。


「さぁ、帰りましょう! 来た時とはまた違った道を知っているのです。そちらから帰りましょう」


 一転、明るい表情で朗らかに言うと、“風の囁き”の馬首を巡らせた。


「エリアドさま! 競争ですわ!」


 その言葉が聞こえたのは、レムリアと“風の囁き”が文字通り風のように駆けだした後だった。

 全く別編の書きかけを間違ってアップしてしまいました。さぞ不思議に思われたことでしょう。誠に申し訳ありませんでした。正しい本編に差し替えましたので、宜しくお願い申し上げます。

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