表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
87/192

魔性の瞳-86◆「転換」

■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)


 涙が流れた。後から、後から──銀の筋を引いて、頬を流れ落ちていく。



──あ、暖かい・・・?



 心に差し込んだ一条の陽光のように、不意に感じたもの。その想いが徐々に大きくなっていき、レムリアはそっと仰ぎ見た。



──あぁ・・・



 どこか困ったような、それでいて優しげな表情。自分を見下ろすその双眸には、真摯な輝きが宿っているように思えた。



──心配・・・してくれているのですか? こんなわたしでも? 人に在らざるものでも? 忌み嫌われているものでも????



 疑問が浮かんでは消えていく。いや──溶けていくとでも言った方が良いのだろうか。



──信じて・・・みよう・・・



 莫迦なことをしているのかも知れない。愚かな考えなのかも知れない。所詮、人は独りで生き、独りで死ぬ──そんな声も頭の奥から聞こえてくる。



──でも・・・



 自分を見つめる瞳は、暖かさと優しさに溢れていた。こんな自分の事を、本当に心配してくれていた。



──勇気を、出してみよう



 逃げていた自分。

 避けていた自分。

 諦めていた自分。


 それも自分なのだから、そんな自分と決別することは出来ない。だけども、そんな自分を変えようと努力することは出来る。迷いはまだあった。しかし、もはや逡巡はしていなかった。


 意を決して、言葉を紡ぐ。一歩一歩、自分が変わるために。


「・・・はい。わたくしたちは、似ているかも知れませんね」


 何時しか、涙は止まっていた。そして、厚い雲間から一筋の陽光が荒れた大地に差し込むように、微かな笑みが口元には浮かんでいた。


「無謀無思慮かも知れませんが・・・一度だけ、夢から醒めてみようかと思います・・・」


 精一杯の勇気を出して──レムリアは未知の世界に一歩を踏み出した。色のない、孤独な世界を後にして──哀しみや苦労は多いが、喜びもある世界へ・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ