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魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
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魔性の瞳-74◆「不安」

■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)


「わたくしに、居て欲しい・・・」


 レムリアは、思わず驚きに大きく目を見開いた。胸の動悸が止まらず、頬が熱い。


「・・・お、お戯れを、エリアドさま。わたくし、などとご冗談を仰らずとも、エリアドさまには、釣り合いのとれる姫君が数多あまたもいらっしゃるでしょうに・・・」


 漸くそう言いかけたものの、その語尾は小さく消えてしまう。


──あぁ、何を言っているのだろう・・・


 考えが全く纏まらなかった。

 手が白くなるほど握り合わせると、唇を噛んで下を向く。

 だが、相変わらず相手の視線は、自分へと注がれているようだった。


「・・・」


 大きく、息を継ぐ。

 胸の動悸が、少しずつ収まってくる。

 何時もの如く、自分の内面を見つめるように、静かに自分に言い聞かせる。



 そうね──そんな筈が無いでしょう? 幻想を見ては駄目。幻想を抱いても駄目。あなたは──魔性の瞳、災厄を招く者、呪われし者なのだから──想いを断ち切るのは、簡単だから・・・。



 ──でも。



 そう──でも。逡巡する心を、このままにしておきたくはない。誰にも話さず、一人で嘆く現状が好きなわけでもない。寂しくない──訳じゃない。



 ──でも・・・



 意を決して、顔を上げる。相手の目を真っ向から見返すと。


「一つだけ、教えて下さい。何故、わたくしなのですか」

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