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魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
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魔性の瞳-73◆「接近」

■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)


「何を・・・」


 言うのですか──と言う言葉を、とっさに飲み込んだ。

 この捕らえ所のない相手は、自分の瞳を覗き込んでも何の変化もないこの人物は、一体何を言いかけたのだろうか。


 ――そんな筈がない。


 ――そんな訳がない・・・


 ――信じられない・・・?


 心が揺らぐ。自分自身がよく判らない。いや──判りたくないのか?

 レムリアは何度も瞬きをして、霧の様に取り巻く迷いを払おうとする。

 だが、相手の視線は自分を見つめたままだ。


「・・・あの・・・」


 もどかしい。

 どうして、旨く言葉が出てきてくれないのだろう。

 胸が熱い──いや、痛いのか? それもよく判らない。


「・・・いま、何を・・・」


 途切れ途切れの言葉が、今のレムリアには精一杯だった。

 無防備な表情で、レムリアは相手の瞳をただ見つめた。


               ☆  ☆  ☆


「・・・」


 そうして彼女レムリアと見つめ合ったまま、いったいどれだけの“時”が流れたのだろう。

 私には、しかとわかりはしなかった。


「・・・すまない。」


 私はゆっくりと瞼を閉じ、深く息を吸う。

 そして、再び彼女を見つめ、ゆっくりと言葉を続ける。


「・・・どうやら私は、貴女あなたにずっと一緒にいてほしいと思っているようだ。

 ・・・貴女あなたの気持ちや、都合も考えず・・・」


 それは、少し前までは口にすることはできないと思っていたはずの──しかし、真摯な──“想い”だった。

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