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魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
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魔性の瞳-57◆「観察」

今回は、エリアドの視点からの描写です。

■ヴェロンディ連合王国/王家の森


 私は、彼女レムリアに案内されるままに馬を走らせる。

 どうやら彼女は、私が考えていた以上に、馬に乗りなれているように見えた。


“・・・彼女には驚かされてばかりだな。”


 危なげない手綱捌きで愛馬を走らせる彼女を見ながら、そんなことを思う。


 王宮を出ると目立たぬよう目深にフードを被り直した彼女とは対照的に、私は素顔を晒したまま馬を進めた。“素性を隠すのは性にあわない”というせいもあったが、そもそも隠そうとしたところで隠し切れるものではないし、そうした私に対して、まともに視線を合わせようとする者はほとんどいない。むしろ、かえってその方が細かく観察されないということを、私は経験的に知っていた。


 街を出て森に向かう。王家の森だと彼女は説明する。


 美しい森だった。放置された素のままの森ではありえない。

 何者かの手が加わっていることは間違いない。

 あるいは、何か特別な場所なのであろうか。


「ほう・・・」


 目の前に現われた湖の景色に感嘆の呟きが漏れる。

 やがて、彼女はその湖畔の一隅にある小さな浜で馬を止めた。

 そこは彼女の好きな場所なのだという。


「ふむ・・・。落ち着けそうな、いい場所だ。」


 “月光”から降りて、あたりを見廻す。


「・・・それとも、何か理由でも?」


 “人が何かを好きになるのに、必ずしも特別な理由があるとは限らない”ということは、最近なんとなく、わかるようになってきてはいたのだが。

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