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魔性の瞳  作者: 冬泉
第二章「惑う夢」
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魔性の瞳-56◆「遠出」

■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/宮殿/正面玄関→王家の森


 レムリアはエリアドを先導して王宮の馬車門に向かった。

 門を警護する兵士達の几帳面な敬礼に会釈を返すと王宮の外に出る。


 羽織った灰色のフード付きのマントのフードを目深に被り直すと、小さく苦笑しながらエリアドに言う。


「余計な詮索をされるのは、エリアド様もお嫌でしょうから。」


 巧みな手綱さばきで“風の囁き”をギャロップで走らせる。

 人通りの少ない道筋を選んでいるのだろう。誰にも会わずに、城壁に設けられた小さな門までやってきた。

 レムリアが右手の指にはめた指輪を翳すと、音もなく門が開いた。


「王族だけが使う、特別な門なのです。」


 短く説明すると、門を抜け、馬首を遠くに見える森に向けた。

 黙したまま、暫しの間馬を走らせていると、やがてその森に辿り着いた。大きな広葉樹が多い、明るい森だ。


「“王家の森”です。奥に、狩猟の館もあります。今日は、寄りませんけれども・・・」


 森の中は、馬でも通れる様に道がきちんと整備されていた。並足でその道を奥へ奥へと辿って行くと、不意に視界が開け、比較的大きな湖が目の前に現れた。こちらの岸は所々砂地の浜があるが、対岸は小高い丘陵が断崖となって湖に落ち込んでいた。

 レムリアは馬首を右に向けると、暫くその湖の湖岸にそって馬を進めた。更に半時ほど進んだ後、レムリアは小さな浜がある場所で馬を止めた。森がこの浜の周りを取り巻いており、外界からは隔絶された感がある静かな所だ。


「ここが・・・とても好きなのです。」


 静寂の中、レムリアの声だけが伝わってくる。湖を見つめる横顔には、穏やかな笑みが浮かんでいる。

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