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魔性の瞳  作者: 冬泉
第一章「舞踏会」
41/192

魔性の瞳-40◆「嘆息」

■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/宮殿/奥の部屋


「・・・」


 部屋を出た私は、深い無力感に包まれ、小さくため息をついた。

 彼女レムリアの心が深い絶望に覆われているということは感じ取れたが、それにどう応えればいいのか、まったくと言ってもいいほどわからなかったからだ。

 おそらく、他人のために何かをしたいという心からの想いを抱いたのは、久方ぶりのことであろう。・・・にも関わらず、私は無力だった。彼女の絶望は、私が想像することができたものよりも、ずっと深いものであったのだろう。そして、その絶望は、“他者の拒絶”という形ではなく、むしろ“自分自身の否定”という方向に、その姿を現わしているように私には思えた。


 ただ、彼女自身の中にも、その“否定”に対する迷いは、残っているのだろう。

 だからこそ、私のような他人の言葉に幾分なりと耳を傾けるのであろうし、自らの想いをもらしたりもするのだろう。あるいは、私にとって、それがわずかな希望になり得るのかもしれないが・・・。


 いずれにせよ、彼女レムリアはこの場所(この国)にとどまるべきではないのではないか・・・。私にはそんな風に思えてならなかった。

 少なくとも、この国にいる限り、彼女の見る景色に変化はない。そして、そうである限り、彼女の目も他の想いが映ることはないのではないのか・・・。いささか極端な言い方ではあるが、私にはそのように思えてならなかった。


「・・・私に、何ができるだろう。」


 漠然とした想いはあったものの、その時の私の中で、その想いはまだ確固たる形を取ってはいなかった。




 何時もお読み頂き、有り難うございます。本編で以て、「舞踏会編」は終了となります。次回からは、「惑う夢編」がスタートします。今後とも、「魔性」を宜しくお願い申し上げます。

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