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魔性の瞳  作者: 冬泉
第一章「舞踏会」
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魔性の瞳-27◆「暗愚」

■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/庭園


「挑戦とは、身の程知らずめっ!!」


 エルド男爵は顔を醜く歪めると、吐き捨てるように言い放った。


「少しは頭があるかと思ったが、“魔剣士”よ! 貴様も所詮は思考停止の木偶の仲間か!」


 言いながらも、エルド男爵は後ろに飛びすさった。軟弱貴族とは思えぬ、予想外に敏捷な動きだ。


「抜くなら抜いて見ろ、愚か者め。この世で誰が強いのか、礼儀知らずの貴様に思い知らせてくれるわ!」


「フッ・・・」


 私は、相手の戯れ言を鼻で嘲笑した。

 動きの俊敏さで、相手に引けを取ることは微塵もない。

 にやりと悪鬼の如き笑みを浮かべ、さらに距離を詰める。迎撃する相手の動きをわずかな動きで左にかわし、右から顔面を思いきり殴りつける・・・と見せかけておいての左の鳩尾みぞおちを打ち抜いた。


『ドズッ!』

「ぐぇっ!」


 その身を二つに折って、エルド男爵は苦悶している。


「どうした? 自慢の剣は抜かぬのか? それとも、かなわぬと見て助けを呼ぶか?」


 相手の腕がどうであろうが、油断するつもりはもちろん、まして手加減するつもりなど一切ない。相手に休む間を与えず、連続して足を薙ぐ。


『ガスッ!』

「ぐぁっ!」


 腹にパンチを食らった上に脚払いを掛けられたエルド男爵は、見苦しい苦痛の悲鳴を漏らして無様に地面に転がった。


「だ、誰か! 狼藉者だ! 殺される!!」


 必死で後ずさりをすると、大声で呼ばわった。


 見苦しいにも程がある。こんな者が“大公家筆頭の一人”かと思うと、私は暗澹たる気分におそわれた。



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