表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性の瞳  作者: 冬泉
第一章「舞踏会」
26/192

魔性の瞳-25◆「激情」

■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/庭園


 彼女レムリアを抱えた人影は、奥まった庭園の一角、高い生垣の角に消えていった。


“何か嫌な予感がする。何か良くないことが起きそうな・・・”


 そう思うと、私は自然と急ぎ足になった。相手を追って、生垣の角を曲がる。


“・・・なぜ、このように心が騒ぐ? ほんの一時、ダンスをして少しばかり会話を交わしただけの相手ではないか・・・”


 そうした考えとは裏腹に、その時、私の心は確かに揺れていた。


“・・・認めなければならないということか。私の中で、彼女が何らかの意味を持ち始めているということを・・・”


“・・・星よ。我を導きたまえ。彼女のもとに・・・”


 呟くように、空に祈る。


『ビリッ』


 その時――生垣の向こう、布が裂けるような音が聞こえた。私は、急ぎそちらに走った。


「・・・」


 それを目にした瞬間、私の中の何かが押さえ切れなくなる。

 無意識のうちに全身から凍てつく鬼気が放たれる。それは、かつて“阿修羅”とともに身にまとっていた修羅の闘気。触れるものすべてを引き裂きかねぬ魔人の刃。

 その畏怖の衣を身にまとい、私はつかつかと男に近づく。


「・・・それ以上、少しでも妙な動きをしてみろ。次の瞬間、おまえの命はこのエルスから消えてなくなると思え。」


 もし私に声だけで人を殺せるものなら、その男は死んでいたかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ