魔性の瞳-18◆「回想」
■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/王宮(祝宴にて)
レムリアの瞳は、まっすぐにエリアドを見つめていた。
「・・・どうやら、君は私が思ったよりも、ずっと強い女性だったらしい。」
彼女の頬に手を伸ばして、そっと触れる。
「・・・『人が、人で有り続けるために狂わねばならないとしたら・・・』。先程、君は私にそう聞いた・・・。」
彼女の頬からスッと手を離すと、エリアドは星々に彩られた天空を見上げた。そして、背中からゆっくりと一振りの剣を取り出す。
「・・・“阿修羅”の名は知っていよう。」
緩やかな曲線を描く、何の装飾もない灰色の鞘。一見するとバクラニ風に見えなくもない、長身の太刀。
「・・・遥か一千年の“時の彼方”、古のスールの地で、私はこの剣を得た。そして・・・、この剣とともに背負ったものと、手放したものがある。」
そこで言葉を止めると、エリアドは再び視線をレムリアに戻した。
深淵を思わせる深い黒の双眸。
「・・・おそらく、君はそれが何かわかっているのだろう。そうでなければ、“あのような”問いを口にはできまい。」
なかば呟くように、私は続ける。
「・・・だが、いったい何が君にそれほどまでの想いを抱かせたのだろう・・・。
・・・そして、ついさきほど出会ったばかりの君に、私はいったい何を期待しているのだろう・・・。」
その時、エリアドは戸惑っていたのかもしれない。彼自身の中の、それまで経験したことのない“感情”に・・・。