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魔性の瞳  作者: 冬泉
第六章「炎の都」
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魔性の瞳-186◆「疑念」

■ヴェロンディ連合王国/王都/大聖堂


 不意に闇の向こうで剣の交わる音が響き、そして、挑むような闇の圧力が消える。

 あたりにあるのは、もはや光に抗すべくもないふつうの闇だった。


『それではご機嫌よう、夢見の姫君・・・』


 響いてくる声に、エリアドはゆっくりとそちらに向かう。

 “大地の鎧”を彩る真紅の炎と共に。


「エリアドさま・・・」


 足音の方にレムリアが振り向くと、鋼のような視線とぶつかった。


「お怪我は?」


 二三歩進むと、そっとその表情を仰ぎ見た。


「いや、こちらは問題ない。・・・“彼ら”と直接刃を交わしたわけではないからな。」


 エリアドはレムリアの問いにそう応じる。

 レムリアはもちろん、セイもハリーも親衛王騎士たちも、一人として傷を負った様子はないように見える。


「・・・そちらはそうもいかなかったようだが、皆無事で何よりだ。」


 ・・・おそらく、“彼ら”の力をもってすれば、私自身を含めて、ここにいる者たちを打ち倒すのはそう難しいことではなかったはずだ。ならば、なぜ・・・


 微かな疑念が、エリアドの胸中をぎる。


 ・・・“黄昏の三騎士”といったか。かのラ・ルの配下の者なのだろうか? 


 これまでの状況を考えればその可能性はけして低くはない、はずだ。・・・だが、私にはなぜか“彼ら”がラ・ルという男の単純な“配下”であるとは思えなかった。むろん、力関係の上下がまったくないわけではあるまい。・・・しかし、おそらく“彼ら”は“配下”というより、むしろ一時的な“同盟者”あるいは“共闘者”とでも言えばいいのだろうか。何かの目的のために同盟もしくは共に戦うことを選んだとでもいうような、そんな感じがしてならなかった。しかし・・・


「・・・ならば、“彼ら”はなぜここに来た?」


 小さな呟きが漏れる。


 ・・・まるで何かを確めに来たように思えるのは、はたして私の気のせいなのだろうか?


 エリアドは、すでに消えた“彼ら”がこの場に残した意思を探るかのように、じっとあたりを見廻した。


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