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魔性の瞳  作者: 冬泉
第五章「闇の舞」
171/192

魔性の瞳-170◆「浸食」

■ヴェロンディ連合王国/王都/騎士総帥の部屋


「・・・エルド男爵が、敵を手引いたと?」


 神槍『カラダン』を担う王国最強の騎士、アクティウム・エパミノンダスは、契那とハリーからの報に接しても、些かも動じなかった。


「はい。男爵が引き寄せた相手は、恐ろしい闇の使い手でした。我ら全員が束になってもかなわぬ相手でした」


 先の戦いを思い返すと、契那は躯が震える思いだった。


「でも、あんな助けが入るとは思わなかったね」

「助けとは?」

「彼の永遠の聖女、全ての者の永久なる憧れ、安寧と融和の象徴・・・」


 芝居がかった様に言うのはハリーの癖だ。


「早くおっしゃって下さい、ハウ卿」


 まったくもう、と契那がハリーを即した。


「はいはい。“銀の髪の乙女”ですよ、アクティウム。間違い有りませんね」

「なんと・・・」

「はい。天空から光の輝きと共に“楽園の泉”が聞こえて参りました。闇の使者を退け、我らの傷すら癒してくれました」

「ふむ・・・」


 アクティウムは暫し思案した。


「・・・斯様な事は、“銀の髪の乙女”が“白の聖者”と“炎の聖騎士”と天空の彼方に旅立って以来のことだ。さすれば、さほどにも事態は深刻であると言う事か・・・」

「予断は許しません。すぐに騎士達を呼集し、即応体制を整えるべきと愚考します」


 一転、真面目な口調でハリーが言った。


「私もそれが必要だと思います。この国で最も守護の力が強い大聖堂にまで進入する相手です。用心にこした事はありません」


 契那もハリーに同意する。二人の言葉に、アクティウムは頷いた。


「判った。国王陛下には、私から報告申し上げよう。ハリー、セイにも話して、早速近衛軍と近衛騎士隊を臨戦態勢にするように。」

「了解しました!」


 ハリーも王国三騎士の一人。締めるべき所は心得ている。拍車を鳴らしてアクティウムに騎士礼をすると、失礼します、と述べて退出する。


「契那、陛下の元に行こう」

「はい、マスター」


 ハリーが出て行ったのとは反対側の小さな扉を潜って、二人も騎士総帥の部屋を出て行った。




 「魔性」百七十話です。ヴェロンディ連合王国に忍び寄る暗い影。それが徐々に明らかに成っていきます。今後ともご期待下さいませ。

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