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魔性の瞳  作者: 冬泉
第五章「闇の舞」
168/192

魔性の瞳-167◆「旋律」

■ヴェロンディ連合王国/王都/大聖堂


 光が瞬くように、金の粉となって降り注いでいた。仰ぎ見た天には、眩いばかりの蒼い輝きで満ちていた。荘厳なるも、心に染み込むような天上の旋律が、全てを癒していく──そっと、レムリアは膝を着いた。


 泣きたくなる程の郷愁と、包み込まれるような暖かさには覚えがあった。そう──あれは、タインの広場のこと。この“蹟聖の剣”である『タインの剣』を授かった時を思い浮かべた。和と智を司る“銀の髪の乙女”──その人に相違なかった。


「これは・・・“始源の光”・・・」


 放心した様に光り輝く天を見上げ、契那も呟いていた。全てを包み込む様な、慈愛に満ちた旋律が大聖堂を振るわせている。


「・・・えぇ。これは、“銀の乙女”のたまものです・・・」

「・・・“銀の乙女”か・・・」


 微笑みを浮かべ、レムリアとセイは言葉を交わした。


「傷が治っていくよ。凄いものだね、“乙女の祈り”は」


 ふぅ、とハリー・ハウは大きく息をはいた。


「おや。黒の大将も何時の間にか姿が見えなくなっているな」


 この光の中じゃ無理もないか、とハリーは皆に笑いかけた。


「さて、傷も治った事だし。早速事後処理と行こうか」

「判った。貴殿と契那で陛下とアクティウムに報告を。敵を手引いたのはエルド男爵だとな。それに、城内にまだ手の者がいるやもしれぬ」

「対応策を奏上しておくよ。お前さんは?」

「レムリア殿と二人で結界の具合を確認しておく」


 セイの言葉にレムリアは頷いた。


「終わったら、私も後を追う」

「判った。じゃ、契那ちゃん、行こう」

「はい、ハリーさま」


 ハリーと契那は、急ぎ足で大聖堂を出て行った。



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