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魔性の瞳  作者: 冬泉
第五章「闇の舞」
165/192

魔性の瞳-164◆「必撃」

■ヴェロンディ連合王国/王都/大聖堂


 月明かりと星明かり、そして、御堂の中の小さな灯火が、手にした灰色の太刀を照らし出す。


 どこからともなく聞こえてくる、透き通った静かな旋律。

それは竪琴のようであり、笛のようであり、そして、歌声のようでもあった。

遥か遠くから聞こえてくるようであり、またすぐ近くから聞こえてくるようでもあった。


 それはさながら、“阿修羅”が歌っているかのようであった。



 ・・・“阿修羅”よ。・・・これは、おまえの声なのか?



               ☆  ☆  ☆



 それが他者の目にどのように映っていたかはわからない。


 しかし私には、“阿修羅”を覆う“光”と“闇”のせめぎ合う様子は、あたかも無数の星々が生まれては消えゆく宇宙そらの一部をそのまま切り取ったかのように感じられた。が、やがてそれは静かに消え去り、“阿修羅”は元の落ち着いた灰色の姿を取り戻す。


 何の変哲もないくすんだ灰色の太刀。あるいは、それが“阿修羅”の本当の姿なのかもしれなかった。



「・・・この太刀を“闇”に属するものとしか思えぬうちは、貴殿あなたは、私と“阿修羅”に勝てはせぬ。」


 手にした“阿修羅”をゆっくりと腰溜めに構える。


「・・・参る。」


 次の瞬間、地を這うように低く跳躍し、一気に相手の懐に跳び込むと、真一文字に横薙ぎに振り抜く。

 迷いのないシンプルな動き。しかし、その速さは間違いなく、それまでの私の一撃の中で最速だったはずだ。

 あるいは、それは私の背中を押してくれる仲間たちの“力”があったせいなのかもしれなかった。




 エリアドの、信念を込めた一撃は、相手に届くでしょうか・・・。

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