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魔性の瞳  作者: 冬泉
第五章「闇の舞」
158/192

魔性の瞳-157◆「魔剣」

■ヴェロンディ連合王国/王都/大聖堂


 虚空に翳した手の中に、一振りの太刀が現われる。


 灰色の簡素な鞘に収められた一振りの太刀。


 ──“阿修羅”。


『創世の魔剣』とも、『永劫の剣』とも呼ばれる、遥か古代に創られた伝説の魔剣。

かつて、私が一千年の時の彼方、古代スールの地を訪れることになった折り、“灰色の預言者”天査その人から託された剣であった。


 私の手の中に音もなく出現した“阿修羅”の放つ波動に、男が怯む様子はない。

元より、“阿修羅”を目にした程度で男が怯むなどとは、少しも思っていなかったが。


 男の巨大な剣に比べれば、灰色の鞘に入った細身の太刀は、いかにも非力に見えよう。


 しかし。


「・・・貴殿がこの場所に何をしにきたかは知らぬ。・・・だが、貴殿があの男を利用することで、結果的に、この国が窮地に陥るというのであれば、このまま見過ごすわけにもいかぬ。・・・望みとあらば、試してみるか?」


 それは、聞きようによっては冷やかにさえ聞こえるほど、静かな声。


 強大な“力”を持つであろう、“敵”になるかもしれぬ相手を前に、不思議と緊張はなかった。


 ・・・ただ、己が為すべきことを為す。


『己が信ずることを為すために、この剣を取るがよい。』


 “阿修羅”を託された時の“灰色の預言者”の言葉が思い出された。


 ・・・この男は、ここにあるべき存在ではない。


 何故かはわからなかったが、そんな気がしてならなかった。




 今話は、エリアド視点の一人称です。

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