表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性の瞳  作者: 冬泉
第五章「闇の舞」
155/192

魔性の瞳-154◆「激闘」

■ヴェロンディ連合王国/王都/大聖堂


『カキィィンン!!!』


 セイの必殺の一撃は、ラ・ルに難なく受け止められた。それだけではない。間髪入れずにセイが飛び下がっていなければ、相手の反撃を避けられなかった。


「貴様・・・」

「避けたか。まぁ、これ位は出来なければな」


 相手をする価値もない、と冷笑する相手に、セイは奥歯をギリギリと噛みしめた。


「どうした? 先程までの威勢は何処に行った?」


 揶揄やゆする様な相手に、セイは一歩も動けなかった。最初の一撃の時とは全く違う──強烈な威圧を相手に感じる。


“何と・・・この私が・・・”


 じりじりと、脚が下がっていた。無意識で有る故に始末が悪い。本能的に、相手に押されてしまっていることに、セイは驚愕していた。


“今まで、何者と相対しても遅れをとることなど、なかったのに・・・”


 だが、事実は如何ともしがたい。


「どうした? 来ないので有れば、こちらから行くぞ」


 ふっと笑うと、その後に疾風が襲った。目にも止まらぬその剣の軌跡に、セイは辛うじてノルンを晴眼に上げただけだった。


「!!!」


『カォォォンッ!!』


 だが。鐘が鳴る様な高音が響くのと、その裂帛れっぱくの一撃は受け止められた。契那が両手を前に出し、セイを庇う様に立っている。


「ほぅ、魔導反発結界か。結界の厚みといい、詠唱の速度といい、たいしたものだな」


 どこからか取り出したのか、長大な両手剣を振り切ったラ・ルは感心した様な口調で一人ごちた。


「だが、二度目はないぞ」

「それは、やってみなければ判りません」

「ふむ。そなたも己を過信している輩の一人か?」


 ラ・ルの口元に、皮肉な笑みが浮かぶ。


「まぁいい。何れにせよ、次で仕舞いだ」


 無造作に下段に構えると、ゆっくりと契那に向き直った。とっさに肩越しに振り返るが、後ろに吹き飛ばされたセイは、壁に打ち付けられてがっくりと首を垂れている。


「いいでしょう。わたくしの力──みせて差し上げます」

「それは重畳ちょうじょう


 一呼吸、そしてその後に烈風が襲った。


「Shilde hochっ!!(反発結界)」


 後ろに飛びすさりながら、契那はその一瞬で張れるだけの魔導反発結界を多重に張った。だが。


『バキャッ!!!』


 その多重結界を苦もなく破った烈風は、勢いを弱めることなく契那に迫った!


「あっ・・」


 全力を挙げた防壁を破られた契那には、迫り来る一陣の烈風がコマ落としの様に見えた。目を見開いて、その一瞬を待つ契那の瞳に、蒼い閃光が飛び込んだ。


『グワッキィッ!!!!!』


「むっ?」


 片眉を上げ、ラ・ルは自分の一撃を受け止めた相手を見た。


「よう、契那ちゃん。遅くなって悪いな」


 にやりと笑うのは、王国三騎士の一角。“真実の目”と呼ばれるハリー・ハウだった。ひゅん、と己が愛剣を一振りすると、契那とラ・ルの間に入った。


「やはりあんたか。まぁ、そうじゃないかって踏んでたんだけどね」

「ハリー・ハウか」

「如何にも。だが、オレだけじゃないぜ」


 タインを引き抜いたレムリアと、後に続くエリアド・ムーンシャドウに顎をしゃくる。


「ほう。姫君に魔剣士か・・・」


 漸く役者が揃ってきたか、とラ・ルは口端を上げて笑った。




 珍しく今週末には仕事も何も入っていないので、更新をしました。危機一髪、ハリー達の到着で救われた格好のセイと契那ですが、味方が五人いても、底知れぬ力を持つラ・ル(R・L)に対して果たして対抗出来るのでしょうか。今後ともご期待下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ