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魔性の瞳  作者: 冬泉
第五章「闇の舞」
152/192

魔性の瞳-151◆「予兆」

■ヴェロンディ連合王国/王都/回廊


「・・・ふむ。“胡老石(ELDER STONE)”・・・ですか」


 エリアドは複雑な表情で、真紅の手甲――“炎の鎧”――をじっと見た。漠羅爾バクラニ旧王朝が盛んなりし頃、大地から生み出される強大な魔導力を注ぎ込んで創られた「大地の鎧」。


「・・・かつて、この“炎の鎧”を創り出す時にも使われたという、強大な“力”を秘めた古代の魔遺物(Ancient Relic)・・・」


 記憶を手繰る様にエリアドは言葉を続けた。


「・・・残念ながら、あまり詳しいことは知らないのだが、“胡老石”には、何種類か属性のようなものがあると聞いたことがある。その空中宮殿の大聖堂にあるという“胡老石”も、そうなのか?」


 そんなことを聞きながら、自分の中で次第に大きくなってくる違和感が、いったい何に起因するものなのか――その疑問をエリアドはずっと思案していた。


「そうだ。大聖堂の胡老石には、“光”の属性がある。何より、この都を長きに渡って護ってきた石だ。その力は強力無比だと言われているが・・・」


 語尾を濁らせたハリーは、肩を竦めて続けた。


「・・・まぁ、結界が保っているのだ。闇に抗する力は残っていると考えるのが妥当だろうが──どうもね、その認識で枕を高くして寝られる気がしないのさ」

「ハリーの言う通りですね。本当に結界が完全に生きているのなら、妖魔が侵入してくることはあり得ない話ですから」


 ハリーの言葉を、レムリアが首肯する。

 

「確かに、どうにも腑に落ちない点が多すぎる。セイと契那ちゃんが戻ってくる前に、打てる手を全て打っておく必要があるね」

「どうするのですか?」

「私の麾下の近衛軍と、セイ麾下の近衛騎士隊に臨戦態勢を取らせます、姫様。結界が撓められた時を狙って、北の魔国が押し寄せてこないとも限りません」


 口調を改めたハリーからは、先程の気安い遊び人の様な雰囲気が消えている。


「お兄さまとアクティウムには?」

「こちらの意図と行動を伝えさせましょう」


 ハリーの言葉に、レムリアの瞳が一瞬瞬いたかのようだった。何か言おうとして、その言葉を飲み込んだ。


「姫様。急いで大聖堂の大扉に参りましょう。セイと契那ちゃんも向かっているところだろうと思います」

「わかりました。ムーンシャドウさま、参りましょう」


 レムリアはエリアドを促すと、踵を返して大聖堂へ向かって回廊を歩き出した。



 お待たせしました。魔性第百五十一話です。相変わらずの牛歩更新で恐縮です。今後とも宜しくお願い申し上げます。

 [20.11.09]文章修正。

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