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魔性の瞳  作者: 冬泉
第四章「怪の扉」
148/192

魔性の瞳-147◆「前進」

■ヴェロンディ連合王国/王都/回廊


 囁くようなレムリアの言葉に、エリアドはこちらこそ、と言葉を返した。


「・・・いや、私の方こそ言葉が足りず、誤解を招くような言い方をしてしまった。そのことを、彼女が気づかせてくれた」

「契那ちゃんが・・・」

「そうだ」


 少し後ろにいる契那を見て小さく微笑み、エリアドは続けた。


「まずは、事実を確かめよう。そして、それにどう対処するか・・・だ」

「そうですね」


 エリアドに頷いたレムリアは、おもむろに歩みを遅らせたると、契那が追い付くのを待った。


「契那ちゃん」


 名を呼ばれて、契那ははっとして顔を上げると、目の前に優しく笑いかけるレムリアの顔があった。先程の、エリアドとのやりとりが心に棘を刺した様に残り、知らずに俯いて歩いていたようだ。


「姫さま!」

「驚かせてしまったのならば、ごめんなさいね。エリアドさまから伺ったわ。気を遣ってくれてありがとう」

「そんな・・・わたしは、不躾に申し上げてしまっただけで、特に意図は・・・」

「いいの。お礼を言いたいのは、わたくしの勝手な我が儘、と思っておいて」


 ね、と笑うレムリアに、契那の心も少しずつ軽くなっていった。

 エリアドもレムリアに合わせて歩みを緩め、契那が追いつくのを少し待った。二人のやり取りが落ち着くのを待って話すエリアドの表情には、どこか自嘲気味の笑みが浮かんでいる。


「・・・人づき合いにはあまり慣れていないんだ。これからも、私に至らぬところがあれば、遠慮なく指摘してほしい」


 一拍おくと、ぎこちなく小さな笑みを浮かべてみせる。


「よろしく頼むよ」


 無理やりつくった笑みに、エリアドは頬の筋肉が微かに引きつるのを感じた。


“らしくない・・・限界か”


 心の中で自分に苦笑しながら、エリアドは話題を変えた。


「だが、まぁ、それはともかく。少なくとも今は、事実関係を確かめておく方がいいだろう。私やレムリアが、本当に今回のできごとに関わりがあるのか否か。そこに、私たち以外の要因が関与しているのかどうか。

 問題は、それをどうやって確かめるか、だが・・・」


 最後の部分は、なかば呟きのようになっていた。



 [20.11.09]文章修正。

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