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魔性の瞳  作者: 冬泉
第四章「怪の扉」
145/192

魔性の瞳-144◆「逡巡」

■ヴェロンディ連合王国/王都/レムリアの居室→回廊


 契那は、少し歩く速度を緩めた。必然、先に歩いているレムリアに追いつこうと脚を早めたエリアドとは距離が開く。


“エリアドさま・・・世の中は目に見えるものばかりではありません。それが判らないとは思いませんけれど・・・”


 想いが言葉として伝わらなかったのは、お互い様のようだった。

 そして、そのもどかしさが契那をして次の行動に移ることを躊躇わせた。


「余計なことを、申し上げましたね」


 そっと呟いてみる。

 自分で判断して、自分で行動する──“助言に感謝する”と言われたものの、それを字面通りに受け止められるほど、自分には純粋さが欠けていると、契那は思った。

 そして、そんな想いしか抱けない自分が少し悲しかった。


               ☆  ☆  ☆


 後ろからの足音が近づいてくる。

 レムリアは本能的に、その足音から逃げようとする自分を押さえようとした。


“逃げて、どうなるものでもないでしょう?”


 自分にそう言い聞かせてみる。理性では判っているが、感情が付いていかない──往々にして生じる心の軋みに、レムリアは胸が痛かった。


“どうして、こんな子供じみた反応をしてしまうの?”


 苛立ちは収まらないし、熾きの様に燻る想いも止まらない。

 それでも、呼びかける声に努めて平静に返そうとするのは、自分が臆病故なのだろうか。


「・・・」


 小さく息を吐くと、意を決して声に出す。


「なんでしょうか、エリアドさま?」

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