表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔性の瞳  作者: 冬泉
第一章「舞踏会」
14/192

魔性の瞳-13◆「吐露」

■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/王宮(祝宴にて)


「・・・人が、人で有り続けるために狂わねばならないとしたら・・・か。」


 とてもダンスの最中さなかの若いむすめが口にする言葉とは思えぬその言葉に、私は目の前で優雅に微笑む彼女の顔をじっと見た。


“遥か一千年の“時の彼方”、いにしえのスールの地・・・

 私が“阿修羅”を得て、それと同時に背負ったものを・・・

 そして、それと引き換えに手放したものを・・・

 この娘は、知っているというのだろうか・・・。”


 それは舞踏会の華やかな音楽の中。

 

“・・・私とは何か別の形でそれを背負い、捨てたというのだろうか・・・。”

 

 そのことは一片たりとて後悔してはいないものの、心のどこかに満たされぬ想いがあったことは否定し難い。


『人は、孤独なものだ。』


 そのことをわかっていてさえ、なお・・・。


 天空そらよりも深い双眸が、彼女を見つめるエリアド自身を、まるで鏡のように映し出していた。

 その双の瞳を見つめながら、私は静かに口を開く。


「・・・人であることを捨てるか。それとも、狂気の中で生き続けるか・・・。

 それは、私にもわからぬ・・・。」


 それは、淡々とした、ほとんど抑揚のない口調。


「・・・だが、私は人であることを捨てるつもりはないし、狂気に囚われたままでいるつもりもない。」


 もう一度彼女を見つめ、私はゆっくりと続ける。


「・・・なぜなら。私は、自らの意志で、その道を選んだのだから」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ