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魔性の瞳  作者: 冬泉
第四章「怪の扉」
138/192

魔性の瞳-137◆「言霊」

■ヴェロンディ連合王国/王都/レムリアの居室


『天空に風、大地に水、人心に炎・・・』


 澄んだセイの声が朗々とあたりに響く。

 心なしか、妖魔タナ・リたちは、その言葉に怯んでいるように見えた。

 それは、セイの言葉が“言霊ことだま”と呼ぶにふさわしい“力”を有しているというあかしであろう。


「・・・いにしえの“聖句”・・・」


 セイが言葉として発したのは、まさに“失われた西方楽土”に伝わる“力の言霊”だった。現代にて、その言葉自体を知る者も少ない。


“・・・まさか、この国で“聖句”を使う者に出会おうとは”


 この“聖句”は、まさに“言霊ことだま”と呼ぶにふさわしく、その“力”を使うために、尋常ならざる“意志”の力を必要とする。けして並みの者に使うことのできるものではない。エリアドが知る限りにおいて、『守護者(WARDEN)』の二人(『紅の勇者』ランバルトと『蒼の賢者』ダリエン)を除けば、この“聖句”の力を使ったことがある者は、『灰色の預言者』天査の娘、真理査と(後に女王に即位する)コーランドのラーライン王女くらいだった。


『天秤っ(WAAGE)!!!』


 セイの言葉とともに目映い光が室内を満たし、妖魔タナ・リたちの姿が消えてゆく。


“・・・さすがは、エルディ(AERDY)の古き血に連なる末裔すえの国と言うべきか”


 蒼白な顔色で倒れこみ、ハリーに抱きかかえられるセイの横顔を見ながら、私はそんなことを考えていた。


「大丈夫か、とは聞かぬよ。しばらく休んだ方がよいだろうからな。

 ハリー殿。セイ殿のことは任せてしまってかまわないか」


 あたりの気配を確認(DETECT EVIL)しながら、私はそのように続けた。


「わかった」


 ハリーは額の汗を手甲で拭うと頷いた。


「心配しないでくれ。“天秤”を使った後のセイは何時もこうなるからな。エリアド殿はレムリア姫様を頼む」


 ハリーが目線を向けた先では、契那がレムリアに付き添っていた。

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