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魔性の瞳  作者: 冬泉
第四章「怪の扉」
137/192

魔性の瞳-136◆「天秤」

■ヴェロンディ連合王国/王都/レムリアの居室


「もう聞こえていないさ!」


 妖魔と切り結びながら、ハリーが叫んだ。


「“天秤”を使うのだろう! 今はそれが一番確実だ!」


 セイは女蛇妖魔マリリスに閃光撃を打ち込んで進路から排除すると、剣を地面に突き立てた。一気にセイの“氣”が上昇する。


「セイに妖魔が取り付かないように援護する!」


 目の前の妖魔を切り捨てると、セイの右側面を護るべく前に出る。


「・・・ふむ。」


“・・・“天秤”か。どうやら、何か手段があるらしい。”


「そういうことなら、この場はお任せするとしよう。」


 ハリーの言葉にそう応じたエリアドは、反対側──彼女の左側面──に場所をとり、女蛇妖魔マリリスを牽制した。


「天空に風、大地に水、人心に炎…」


 澄んだ声で、セイの詠唱が響き渡る。集中しているセイは無防備だが、その側面をハリーとエリアドががっちりと護っている。


「・・・始まりの光に在りし如く、世々のことわりに裁定を下したまえ」


 きっと瞳を前方の闇に見据えると。両手を開いて前に突き出すと一声鋭く叫んだ。


「天秤っ(WAAGE)!!!」


 途端、目映いが室内を満たした。セイの両手が白く輝くと、その眼前に光り輝く天秤が現れた。


「始まったな」


 剣を下げると、ハリーが静かに言った。

 見ると、女蛇妖魔マリリス猛禽妖魔ヴロックたちも動きを止めている。と、その姿が急速に希薄になっていく。


「“裁定”が下った。転移門(GATE)も崩れるぞ」


 ごう、という音を最後に、黒く口を開けていた転移門がかき消えた。同時に、妖魔の姿も消滅していた。


「セイっ」


 崩れ落ちるセイに走り寄ったハリーは、とっさにセイを抱き抱えた。セイは蒼白な顔色で、瞳を堅く瞑っていた。

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